2023年7月19日水曜日

【IP KOREA】SK MagicとCuckoo Homesysの氷戦争

日々暑くなっていく夏、韓国の浄水器業界で行われている氷戦争が尋常ではありません。
最近SK MagicがCuckoo Homesysを相手に特許権侵害禁止と損害賠償請求訴訟を提起したのです。
一体どういうストーリーなのか確認してみたいと思います。

▲pixabay.com

氷戦争の核心:4WAYバルブ

SK Magicは、自社の氷浄水器特許技術をCuckoo Homesysが「In&Outアイス10S浄水器」と「Zero100S沸かし湯冷温浄氷浄水器」に使用したと主張し、韓国のソウル中央地方裁判所に特許権侵害禁止及び損害賠償請求訴訟を提起しました。

その核心には「4WAYバルブ」技術があります。浄水器においてヒーターで製氷棒を加熱して氷を落とす「脱氷」時に、既存の「3WAYバルブ」方式と違って4WAYバルブ技術は冷媒の熱だけを利用して脱氷する技術が特徴です。つまり、既存にはヒーターで氷を融かしていたとしたら、SK Magitは冷媒の熱を利用して氷を融かす技術です。

これでヒーターを製品に搭載しなくてもいいので、浄水器をより小型化できて消音発生も減らせる効果があります。
SK Magicはこの技術で2018年の2月に特許を出願して「All in One直水浄水器」に適用しました。

▲Wipsglobal.com、KR 10-2018-0023761、「氷浄水器」

Cuckoo Homesysの反撃

Cuckoo Homesysももちろん黙ってはいません。SK Magicの主張に正面から反駁したんです。
Cuckoo Homesysは液体状態の冷媒を脱氷に使用するSK Magicとは違って、自社は気体状態の冷媒を脱氷に使用している点から脱氷方式と技術で明確な差があると説明しました。

また、SK Magicの特許は源泉技術に該当してその技術に関してはSK Magicの特許が出願される前に韓国と日本に先行技術として公開されていたと主張しました。
この関連内容はWIPS GlobalでもSK Magicの被引用特許リストからご確認いただけます。
▲Wipsglobal.com、KR 10-2464193、SK Magicの被引用特許文献リスト

絶えない浄水器戦争_その1

SK MagicとCuckoo Homesysだけではなく、既に韓国の浄水器業界での特許紛争は数年間続いています。
代表的な事例としては9年目、今でも続いているChungho NaisとCOWAY間の氷浄水器特許紛争です。

2014年にChungho Naisは「一つの蒸発器で製氷と同時に冷水が得られる冷温浄水システム及び装置」に対する特許をCOWAYが侵害したと訴訟を提起しました。
Chungho Naisのこの技術は一つの蒸発器だけで冷水を得てその冷水で製氷して原水の温度と周囲の温度の変化に関係なく、一定量の氷が得られる技術です。

▲Wipsglobal.com、KR 10-2005-0099663、「一つの蒸発器で製氷と同時に冷水を得られる冷温浄水システム及び装置」

以後進められた1審では、Chungho Naisが勝訴しましたが、控訴審で1審判決中に被告の敗訴部分を取り消して原告請求を棄却してCOWAYの手を上げました。これにChungho Naisは即時に上告して現在も最高裁判所の判断を待っている状況です。

▲Wipsglobal.com、「審判検索、Chungho Nais-COWAY間の審判リスト」

絶えない浄水器戦争_その2

浄水器戦争はまた続きます。
BODY FREINDとKYOWONグループは、浄水器模倣に対する法的訴訟を展開しました。

実はこの訴訟では、二つの会社の間に挟んでいる浄水器部品製作企業の「Picogram」も知っておく必要があります。2014年BODY FRIENDは、このPicogramと自家フィルター交替式の「W浄水器」を共同開発しました。

▲Wipsglobal.com、KR 10-2014-0156368、「2重フィルター交替モードの直水型浄水器」

W浄水器リリース後、BODY FRIENDは独占販売権を、Picogramは通常実施権を分けて保有しました。しかし2016年に両社は分かれて、PicogramはKYOWONグループと手を組み「ウェルスミニS浄水器」をリリースしました。

これを対して、BODY FRIENDはKYOWONグループがリリースした該当浄水器が自社のW浄水器を模倣したと反発したことから始まりました。

▲Wipsglobal.com、KR 20-2020-0002976、「フィルター交替が容易な浄水装置」

結局KYOWONグループは、BODY FRIENDに対して虚偽事実を流布したと民事訴訟を起こして1審では勝訴しましたが、2審と最高裁判ではBODY FRIENDに敗訴しました。

これにKYOWONグループは2020年、民事訴訟を再び提起して勝訴判決を導きました。
敗訴したBODY FRIENDは現在までこれといった訴訟の動きはないですが、業界の一角では今後も両社の紛争が続くと見込んでいます。

浄水器戦争、いつまで?


▲pixabay.com

年を重ねても浄水器会社間の熾烈な戦争は後を絶ちません。
技術とデザイン、商標に至るまで業界規模に比べて紛争類型と範囲も多様な方です。
業界が狭くて技術力の差があまり大きくないためひときわ競争が激しく、今後も法的攻防が活発になると予測されます。
韓国の消費者たちはほとんどレンタル浄水器を利用しているので、攻撃的な紛争よりは公正な競争と共生できる方法を見つけて、消費者たちが安心して浄水器サービスを利用できるようにしてほしいです。


Japan Tel: +82-2-726-1113, 1107 | Fax: +82-2-777-7334 | wips-jp@wips.co.kr

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