2022年9月16日金曜日

【IP ISSUE】あなたの筋肉は元気ですか?

 年を取るにつれ、身体の構造と機能が徐々に退化することを意味する「老化」は、不可抗力的なものです。つまり、「過ぎ去る時間には勝てない」とよく耳にしていた言葉通り、皆に公平に近づいてくる老化に関する問題は、経済的、社会的に豊かになった今日に最も注目されるテーマかも知れません。
前述したとおり、老化によって人体の臓器や筋肉、骨など身体のいろんな器官が古くなった自動車みたいに弱まったり、能力が落ちてしまいます。中でも、動いたり基本的な日常生活において最も多く使われる筋肉量の減少と機能の低下は老年世代の生活の質を左右して、症状がひどい場合は2次被害(転倒、挙動不便など)につながる可能性があるため、とても深刻な問題です。このような筋肉の量と機能低下による病気を「サルコペニア(Sarcopenia、筋肉減少症)」といい、最近ではWHOで疾病として認識して疾病管理コードを付与しています。
今回の投稿では、老化による色んな問題の中で、「サルコペニア」に関する具体的な内容と共に治療のための食品及び医薬品の開発特許動向の全体的な流れを通じて最近の研究動向を確認してみたいと思います。

1. 「サルコペニア」とは?
サルコペニア(Sarcopenia)は、年を取るにつれて筋肉の量、筋力、筋機能などがすべて低下する疾患を意味し、サルコペニアの原因は人によって違いますが、最も多い原因として、たんぱく質の摂取減少、運動量不足、運動方法の低下で特に必須アミノ酸の摂取及び吸収が足りなくてサルコペニアが発病する比率がとても高く、その他の原因としては老化に伴うホルモン不足などがあります。
また、サルコペニアは筋肉自体に生じる疾病以外にも糖尿病、感染症、ガンなど急慢性疾患、脊椎狭窄症など退行性疾患によって2次的によく発生することもあり、心臓、肺、腎臓部位の慢性疾患、ホルモン疾患などが発生した場合にサルコペニアが高い頻度で発生すると知られていて、老化に関する疾病として最近問題となっています。

2. サルコペニアの予防及び解決策
◎健康な食習慣
まず一番目がバランスのある食事、二番目が十分なたんぱく質の摂取です。韓国の栄養学会では食品に含まれている栄養素によって穀類(炭水化物)、肉・魚・卵・豆類(タンパク質)、野菜類(ビタミン・無機質・食餌繊維素)、果物類(ビタミン・無機質・食餌繊維素・唐)、牛乳・乳製品(カルシウム)の5つの食品群に分けて、穀類は毎日2~4回、肉・魚・卵・豆類は毎日3~4回、野菜類は毎食2種類、果物類は毎日1~2個、牛乳・乳製品類は毎日1~2種類程度の比率で摂取することを勧めています。老人の場合、同じ量のたんぱく質を摂取しても筋肉に合成する能力が低いため、もっと多く摂取しなければなりません。

◎たゆまぬ運動
規則的に行う運動が身体機能の向上、免疫力の増進と老化防止にも効果があるということは多くの研究を通じて報告されています。しかし、あてもなく強度を高める運動はむしろ副作用や逆効果をもたらす可能性があるので、自分の体力に合う効率的な運動を選択することが重要です。体力とコンディションに合わせて運動量と強度を決められる個人型運動ができればもっといいです。

3.サルコペニア予防食品、医薬品の特許動向
<サルコペニア予防食品、医薬品の細部分類>

◎全体年度別/国別の出願動向
<全体年度別の出願動向>

<区間別/国別の出願推移>

全体の年度別出願動向でみられるように、全般的に右肩上がり(↗)の推移を見せており、国別の出願もまた全般的に出願活動が活発な現象は共通として観察されます。尚、最近(2010年代後半基準)は韓国とアメリカの出願増加が他の国に比べて相対的に高いことがわかります。

◎全体出願人別の出願動向
<サルコペニア予防食品、医薬品関連の上位出願人>

<サルコペニア予防食品、医薬品関連の上位出願人現況>

上位出願人を確認してみたところ、最も多く出願件数を保有している出願人は、韓国の延世大学産学協力団(Industry-Academic Cooperation Foundation, Yonsei University)であり、その次をBRISTOL MYERS SQUIBB CO(US)、WYETH LLC(US)、NESTLE(CH)などの順で次いでいることがわかります。

◎サルコペニア予防食品、医薬品の用途別出願動向
<年度別/用途別の出願群数現況>

<用途別の上位出願人現況>

サルコペニア、筋力改善関連技術の用途としては、食品、医薬品(APP-03)>医薬品(APP-02)>食品(APP-01)の順で確認されて、APP-01またはAPP-03の用途すべて時系列的に出願群数を並べた場合、増加する動きを見せました。
また、APP-03用途の場合、上位出願人のほとんどが韓国国籍の出願人で構成された特徴が見られ、上位出願人に学校と研究院の出願人が多数含まれていることから技術開発段階であると推測されます。

◎サルコペニア予防食品、医薬品の素材別出願動向
<年度別/素材別の出願群数現況(MAT-01, 02, 06)>

<素材別の上位出願人現況(MAT-01, 02, 06)>

サルコペニア、筋力改善関連技術の素材としては、抽出物(MAT-01)>化合物(MAT-02)>アミノ酸系(MAT-06)などの順で確認されて、MAT-01, MAT-02, MAT-06基準、すべて時系列的に出願群数を並べた時に増加する動きを見せていて、活発な研究が進められていることがわかります。
MAT-01素材の場合、上位出願人のほとんどが研究院、学校の出願人で構成されている特徴が見える反面、MAT-02, MAT-06の上位出願人はほとんど企業の出願人で構成された特徴が見られます。

4.最後に
急速に速まっている高齢化時代と共に抗老化市場が時間と共に明確に規模が大きく成長していますが、老化疾病の中でも、サルコペニアに対しては本質的な予防法及び治療法と関連してまだ明確に開発されたものはない状況です。
最近になってサルコペニアに対して注目度が高まり、予防及び治療のための研究が活発になっていますが、医薬品または食品の形で開発された商用製品はまだないのが現実です。
つきまして、関連分野への持続的な投資と研究開発が必要であると予想されます。優秀なバイオ技術を保有した先進国及び企業に対する特許モニタリングを通じて技術的格差を多少減らせられると思われます。


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