2022年5月12日木曜日

【IP ISSUE】ナイキのNFT商標権侵害訴訟

リセール(Resale)プラットフォームグローバル1位のブランド、「ストックエックス(StockX)」

リセール(Resale)とは、限定版の製品など人気のある商品を購入して高く売り戻すことを意味します。主に衣類、カバン、スニーカーなどが取引されて若者の財テク方法として活用されています。
最近ナイキがDior、Off-White、サカイ、シュプリームなどのブランドたちとコラボで制作したスニーカーがリリースされてすぐ定価の何倍に達するリセール価で取引されたこともあります。
「限定版」というタイトルで人々の消費心理を刺激しているリセールは、市場がどんどん拡大するにつれてリセールのためのプラットフォーム企業も出てきました。
特にアメリカの「ストックエックス(StockX)」は去年の企業価値が4千億円以上という評価を受けるなど大きく成長しました。
限定版の時価情報はもちろん、リセール価が適切かに対する評価基準が曖昧だったリセール市場で株式市場概念を代入して開発することで消費者からの大きい反応がありました。

▲ stockx.com <ストックエックスホームページ>

ストックエックス、ブロックチェーン基盤の「Vault NFT」販売開始

ストックエックスは今年の1月、ブロックチェーン基盤で生成されたVault NFT(以下、ヴォールトNFT)をウェブサイトとアプリを通じて販売し始めました。
ヴォールトNFTは実物スニーカーではなく、デジタルスニーカーを所有する一種の投資商品で、購入後に受領を希望する場合に実際の製品と交換できるトークンを言います。
ストックエックスはヴォールトNFTをリリースして人気のある新製品をデジタル方式で所有して手数料とクロゼット空間をセーブできる長所があると広告しました。
消費者も既存の販売にメタバース技術が融合された新しいプラットフォームに対して期待を膨らませていました。
しかしリリース後、いくつかの問題点が提起されました。
ヴォールトNFTに関心が集まりすぎてシャチと呼ばれる定価100ドル水準のナイキダンクロースニーカーが平均809ドルで取引されて、最高価は3,500ドルまで過度に暴騰したことがあります。
また、NFTと実物取引に対する不明確な購入約定条件と現在まで商品交換オプションを使用できないという問題で消費者たちから詐欺だという叱咤を受けました。

▲ stockx.com <ストックエックスホームページ>

ストックエックスを相手に損害賠償訴訟を提起したナイキ

ストックエックスがヴォールトNFTに登録した製品のほとんどはナイキの製品でした。
ナイキはストックエックスが自社と全く関係がないにも関わらずまるで自社とヴォールトNFTが公式販売契約を結んだように消費者に混乱を与えて、過度な価格と不明確な購入方式で自社製品に対する信頼度を下落させたと批判しました。
また、ナイキの製品イメージと商標を無断に使用して販売することで露骨なタダ乗りをしていると主張しました。
実際にSNSには多くの人々がナイキの正品NFTと勘違いしてアップした投稿が多数発見されました。
現在ストックエックスでは、「100% Authentic」という文句が「StockX Verified」に入れ替えられた状態です。
このような理由でナイキは先月、ストックエックスを相手に商標権使用禁止及びこれに対する被害補償と販売中止を要請しようと、ニューヨークマンハッタン連邦地方裁判所に訴訟を提起しました。
ちなみにナイキは、去年の12月にブロックチェーンメタバーススタートアップである「アーティファクト」を引き受けてナイキ仮想製品をリリースする計画であることを明らかにしています。
ヴォールトNFTに対する問題点が浮乗するとナイキ側もリリース予定の仮想製品のイメージ毀損を懸念して一早く対応に出たと思われます。

▲ stockx.com <ストックエックスホームページ>


NFTを巡る知的財産権紛争、その結果は?

NFT市場が大きくなると、様々な問題点が台頭しています。
他人の創作物をNFTで無断登録して販売することで元の所有者が被害を受ける事例が発生しているためです。
NFT発行主体は元の所有者の商標権や著作権などの知的財産に対する権利を保有していない状態で
ただNFT所有権だけを販売しているため、紛争発生の可能性がとても高いです。
また、NFT購入者たちの被害発生に対する十分な法的保護がなされない可能性も高いです。
これに対する明確な判例もなく、今回のナイキとストックエックスの訴訟はNFTと関連する知的財産権紛争の代表事例になると思われます。
もしストックエックスのヴォールトNFTがナイキの商標を侵害したと判断される場合、これに対する被害補償や救済手段を提示できるためです。
果たして裁判所はどのような判決を下すでしょうか?その成り行きが注目されます。


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