2022年4月25日月曜日

【IP KOREA】手違い救済および知財権獲得機会拡大のための韓国の知的財産権法改定

 コロナ19にも関わらず、去年に続いて今年も特許、商標、デザインなどを含む知的財産権(以下、知財権)の出願が増加し続けています。
実際のところ、IP専門人員を備えている大手企業とは違って、個人や中小企業はIP専門人員を配置するのが難しく、知財権の基盤をもっと整えなければいけないのにも関わらず相対的に知財権保護の死角に入っています。
これに、知財権を通して危機を克服しようとする努力が続く状況の中で、今回の改定は知財権の基盤が脆弱している個人、中小企業に大いに助けになると期待されています。

韓国では、このような時局を反映しながらも、現行制度の運営上に出る一部の不備点を改善・補完して出願人の便宜を図るために、特許法・商標法・デザイン保護法の改定案が2022年4月20日に施行されました。具体的に知財権関連法がどう改定されたか調べてみましょう。

"該当資料は韓国特許庁の報道資料を参考して作成しました。"

▲ flickr.com @ calinjurylawyer

特許法・商標法・デザイン保護法の共通改定案

拒絶決定不服審判の請求期間を延長
アメリカ・日本及び中国など主要IP国たちの拒絶決定不服審判請求期間が3か月である反面、韓国は現行30日で多少短く、期間延長比率が2020年基準32.1%を記録するなど出願人に対して審判準備期間が足りないという意見がありました。
現行法上の問題点を鑑み、特許法・商標法・デザイン保護法を共通的に拒絶決定不服審判請求期間を現行の30日から3か月に延ばして審判に対して十分な準備期間を提供し、不要な期間延長を最小化できるようになりました。

出願人の便宜拡大
また、書類提出や手数料納付など期限経過によって権利が消滅した場合、権利回復要件を「責任を負えない事由」から「正当な自由」に緩和しました。例えば、コロナ19で急に入院して手続きができない場合などは今後救済が可能です。
更に、分割出願をするときに優先権主張を落とした場合、出願人の単純手違いで分割出願が拒絶される問題を今回の改定を通して解除しました。
具体的には、先出願に優先権主張があれば先出願の分割出願時にも優先権を自動に認めて優先権主張の漏れなどの手違いで出願が拒絶されることを防止できるようになりました。

▲ flickr.com @ Woody H1

特許法改定案

分離出願制度導入
既存の特許法では、一部の請求項が登録できても審判段階で全請求項のうち一つでも棄却(拒絶維持)になると、特許全体の請求項(発明)が拒絶になってしまい、登録できる請求項があっても特許をもらうことができませんでした。こういう現行法の限界を克服するために、年間の拒絶決定不服審判請求時に分割出願を活用する割合は40.8%程度(2016~2020年基準)で審判請求と別途として分割出願を追加的に提出するのが一般的でした。
これに出願人の権利獲得の機会を拡大するために、改定案では審判で拒絶決定が維持(棄却審決)されても登録可能な請求項だけを区分して出願する分離出願制度を新しく導入しました。分離出願制度の導入を通して審判と同時に分割出願が乱用されることを防止して、審判段階以後にも出願人に権利を獲得できる機会が与えられると思われます。

▲ 特許庁報道資料

商標法・デザイン保護法改定案

(商標・デザイン共通)審査官による職権再審査制度導入
登録決定になった商標・デザインが設定登録される前に審査官が確かな拒絶理由を発見した場合、登録決定を取り消して職権で再審査ができるようにして無効事由がある不実権利の発生を事前に遮断して紛争の素地を防止できるようになりました。

(デザイン保護法)審査官による職権再審査制度導入
更に、既存のデザイン保護法上、デザイン登録拒絶決定に対応して「再審査請求時」に補正書の提出が必要でしたが、これを「再審査請求期間内」に拡大して出願人の便宜を図れるように改定されました。

▲ flickr.com @ Alejandrowxwq

ここまで、2022年4月20日に施行された韓国の知的財産権法の主要改定内容を確認してみました。
全体的に、現行で出願人が不便に感じていた問題点を解除して、不実権利の発生を未然に防止するための内容が改定案に反映されて知財権の基盤が脆弱する個人と中小企業たちに大いに助けになると思われます。
改定法案を通じて、コロナ禍においても知財権で危機を克服しようとする努力が実を結ぶことをお祈りします。


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