速く高度化した技術発展による人間の未来の裏には、大量の二酸化炭素排出による生態系破壊、気候変動、自然災害といった脅威により、人類に警告を与えています。したがって、近年、世界各国は「炭素中立(carbon neutrality)」という共通の目標を定め、二酸化炭素を削減するための多くの努力を図っています。この中で最も高い効率の二酸化炭素削減技術は、二酸化炭素捕集(CCS)と二酸化炭素活用(CCU)技術であり、関連研究やインフラの普及が急速に進んでいます。
今回のレポートで、二酸化炭素捕集(CCS)と活用(CCU)技術の技術内容と特許動向を確認し、我々が進むべき炭素中立時代のロードマップに役に立てると思います。
1. 炭素中立とは?
二酸化炭素を排出した分だけ二酸化炭素を吸収する対策を立て、二酸化炭素の実質的な排出量を「0」にするという概念で、企業や個人が発生させた二酸化炭素の排出量だけ二酸化炭素吸収量を増やし、実質的な二酸化炭素排出量を「0」にするという目標であります。
2. 二酸化炭素捕集(CCS)と二酸化炭素転換(CCU)
二酸化炭素捕集(CCS, Carbon Capture and Storage)技術とは、産業及びエネルギー関連の供給源から二酸化炭素を分離及び貯蔵位置に運送し、大気から長期間隔離する技術であります。代表的な方法としては、湿式捕集 / 乾式捕集 / 分離膜捕集 / 空気中捕集に分類されます。
二酸化炭素転換(CCU、Carbon Capture and Utilization)は二酸化炭素を単なる隔離ではなく、潜在的市場価値のある高付加価値の素材に変換する技術であります。上述した捕集技術に比べ、多様な形態に変換しなければならないため、技術的/学問的融合が必要な特徴があります。実質的な切り替え技術の例としては、熱触媒転換/電気化学転換/光化学転換/生物転換/鉱物化に分けられます。
本寄稿では最近20年間の米国特許データを通じて二酸化炭素捕集(CCS)および二酸化炭素転換(CCU)技術に関する特許分析を行いました。
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| CCS及びCCUの技術概念 |
3. 二酸化炭素低減技術特許動向
◎ 全年度別出願動向
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| 二酸化炭素捕集及び転換技術年度別出願動向 |
二酸化炭素削減技術の中で、捕集技術と切替技術に大別した場合、約8:2程度の割合で出願比率が確認されました。近年の出願動向では、二酸化炭素捕集技術よりも、転換技術により技術トレンドが徐々に変化することが確認できるが、その変化に注目する必要があると思います。
◎ 全体出願人別出願動向
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| 全体上位出願人 |
上位出願人のTOP 10 を抽出した結果、最も多くの出願群数を保有している出願人はMITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES (JP) であり、次いでTOSHIBA (JP) 、ALSTOM ECHNOLOGY (FR)、GENERALECTRIC(US)、SIEMENS (DE) などの順になっている結果が見られます。上記の上位出願であるTOP 10 の多くが捕集技術出願のほとんどの割合を占める結果に対して、サムスン電子及びSIEMENS の場合、捕集と切り替えの割合が相対的に等しく分布している特徴があります。
◎ 二酸化炭素捕集(CCS) 技術出願動向
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| 酸化炭素捕集技術別出願動向 |
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| 二酸化炭素捕集技術の上位出願人 |
二酸化炭素捕集技術は、湿式捕集 > 乾式捕集 > 分離膜 > 空気中捕集 > その他の順で確認される。 上位出願人としては、MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES (JP)、TOSHIBA、ALSTOM TECHNOLOGY (JP)、GENERAL ELECTRIC (US)、EXXONMOBIL (US)等の順に並ぶ結果が見られます。また、上位出願人の機関形態であり、企業形態が絶対的多数を占めることから、近年の環境配慮型/ESG経営/炭素中立等の政策に基づく取組の結果であると予想されます。
◎二酸化炭素切り替え (CCU) 技術出願動向
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| 二酸化炭素転換技術別出願動向 |
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| 二酸化炭素転換技術の上位出願人 |
二酸化炭素への転換技術は、電気化学への転換>熱触媒転換>光化学転換>生物転換>鉱物化>その他の順に出願されています。上位出願人として、SIEMENS(DE)、サムスン電子(株)、UNIVERSITE DE PARIS(FR)、TOSHIBA(JP)等の順に活発な出願活動が見られることが観察されます。
本切り替え技術は、上記捕集技術に比べ相対的に後発技術であり、融合研究の性格が強く、機関形態で企業よりは学校形態が多い割合を占める特徴が見られます。
4. 韓国二酸化炭素捕集/転換技術の現況
ノルウェー国策研究所の主管で進められている700万ユーロ規模のEUREALISE事業に参加し、液状吸収剤技術の開発を通じてCCS事業に適用する予定であります。CCUS技術関連市場が拡大するだろうという判断から、捕集された二酸化炭素を貯蔵施設に運送するための大型液化二酸化炭素運搬船の共同開発を現代尾浦造船などと手を組んで開発を推進しています。ベーカーヒューズと業務協約を締結し、ベーカーヒューズが保有する炭素捕集技術、圧縮機を活用して炭素貯蔵所の建設と運営関連技術を研究しています。機体分離膜を適用した炭素捕集·活用(CCU)設備の実証を完了し、商業化のための設計が完了しており、捕集された二酸化炭素により製品化·原料化·技術ライセンスの確保を進めています。CCU技術を適用したセメント、コンクリート、液化炭酸などを商用化する予定であり、韓国ではCCU技術を本格的に適用し、製品を商用化した事例がないため注目されています。韓国ガス公社と2024年の竣工を目標に、1万トン規模の液化水素メガステーションを構築し、水素抽出過程で発生する二酸化炭素を捕集する技術を研究しています。
5. 結論
炭素中立問題は理想的な道徳的目標認識ではなく、直ちに人類がしなければならない当面の課題であります。二酸化炭素捕集(CCS)及び転換(CCU)技術の研究とともに政策経済技術との連携が必要であります。これにより炭素中立の社会的認識変化のための底辺拡大と技術的インフラ拡充への努力が不可欠だと考えられます。
※ 参考資料
- 主要国炭素中立技術政策の動向 (2021, GTCグリーン技術センター
- 大韓民国の政策ブリーフィング2050炭素中立(2021、大韓民国政府)
- CCUS電柱記の概念図(2020、エネルギーデイリー)
- 炭素中立、CCUS技術に任せろ (2021, 月刊水素経済)
- 炭素中立核心CCUS、企業政府商用化に総力戦 (2021、ハンス経済)
建設業界「二酸化炭素を捕まえろ」(2021、アイニュース24)
- ロッテケミカル、CCU設備実証済み(2021、亜洲経済)








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