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2025年10月11日、アメリカのコンピューター科学者のStephen Thaler氏が人工知能(AI)が生成した芸術作品の著作権を認めないアメリカ著作権局(USCO)の決定に関連し、連邦巡回控訴裁判所(CAFC)の判決に対してアメリカ最高裁判所(The U.S. Supreme Court)に上告したとロイター(reuters)通信が報道しました。
Thaler氏はアメリカのミズーリ州セントチャールズに本社を置く高級人工神経網技術会社である「Imagination Engines Inc.」を設立し、AIシステム「DABUS(Device for the Autonomous Bootstrapping of Unified Sentience、以下DABUS)」を開発しました。
2018年にThaler氏は、DABUSが制作した視覚芸術作品について著作権登録を申請したものの、2022年にアメリカ著作権局(USCO)は、アメリカ著作権法に基づき著作物として認められるためには創作者が人間でなければならないと判断し、登録を拒否しました。
Thaler氏はアメリカ著作権局の決定に対し、アメリカD.C連邦地方裁判所(District Court for the District of Columbia)に提訴し、当該作品はDABUSによって自律的に創作されたものであり、その著作権はAIの所有者である自分に帰属すると主張しました。しかし、2023年3月18日、同裁判所は「著作権は機械によって創作された作品を保護することはできない」との判断を下しました。
これを受けて、Thaler氏はアメリカD.C連邦巡回控訴裁判所(Court of Appeals for the District of Columbia Circuit)に控訴しました。しかし2025年3月18日、同裁判所はアメリカ著作権局(USCO)の決定および下級審の判決を支持し、「人間以外の主体は著作権法上の“著作者”として認められない」という立場を改めて確認しました。
2025年10月10日、Thaler氏はDABUSが制作した芸術作品に対する著作権保護を拒否したアメリカ著作権局の決定について、「この判断はAIを創造的に活用しようとするすべての人々に萎縮効果をもたらし、クリエイティブ産業におけるAIの開発および利用に悪影響を及ぼす」と主張し、アメリカ連邦最高裁判所に上告しました。
2023年、Thaler氏はDABUSを唯一の発明者として指定した発明の特許登録を拒否したアメリカ特許商標庁(USPTO)の決定に対しても異議を申し立て、連邦最高裁判所に審理を求めましたが、最高裁はこの事件の審理を受理せず、USPTOの決定を支持した下級審の判断を確定させました。
USPTOは、アメリカ特許法上「発明者は人間でなければならない」という原則を理由に、当該発明の特許登録を拒否しました。これを受けて、アメリカバージニア州東部地方裁判所(District Court for the Eastern District of Virginia)は、USPTOの判断を支持する立場を確認しました。
Thaler氏は、「AIを発明者として認めることこそがイノベーションを促進する」と主張してアメリカ連邦巡回控訴裁判所(Federal Circuit Court of Appeals)に控訴しました。しかし、同裁判所はこの主張を「法文に基づかない推測であり、法解釈の範囲を逸脱するものである」と判断しました。
<出典>"アメリカのコンピューター科学者Stephen Thaler、アメリカ最高裁判所にAI創作物に対する著作権関連紛争上告”. 韓国知識財産研究院.
https://www.kiip.re.kr/board/trend/view.do?bd_gb=trend&bd_cd=1&bd_item=0&po_item_gb=US&po_no=23962, (参照 2025-11-03)
WIPO
2025年9月1日、世界知的財産機構(WIPO)は2025年グローバル革新指数(GII)発表に先立ち、「2025年世界100大革新クラスター順位(Top 100 Innovation Clusters worldwide 2025)」を発表しました。「革新クラスター」とは、革新を牽引する都市または地域を指し、国の革新システムを支える中核的な原動力となる存在です。
2025年の「世界100大革新クラスター」順位は①特許協力条約(PCT)に基づき公開された特許出願活動、②科学論文の発表活動、③ベンチャーキャピタル(VC)活動(2025年に新設)の3つを分析し、世界中で発明者・科学分野の著者・ベンチャーキャピタリストの密度が最も高い地理的地域を特定したものです。
その詳細な結果は以下のとおりです。
革新クラスターTOP5
深圳-香港-広州(中国/香港) が1位、東京-横浜(日本)が2位、サンノゼ-サンフランシスコ(米国)が3位、北京(中国)が4位、ソウル(韓国)が5位となりました。
その中でも、深圳-香港-広州と東京-横浜を合わせると、世界全体のPCT出願の約5分の1を占めるそうです。
100大革新クラスターの中で、人口密度に対して最も集中的(intensive)な革新活動を示したクラスターは、サンノゼ-サンフランシスコ(米国)が1位、ケンブリッジ(英国)が2位、ボストン-ケンブリッジ(米国)が3位、オックスフォード(英国)が5位となりました。
国TOP5
100大革新クラスターを最も多く保有した国は中国(24個)が1位、アメリカ(22個)が2位、ドイツ(7個)が3位、インド(4個)が4位、英国(4個)が5位を記録していて、中国は2年連続1位となりました。
<出典>“世界知的財産機構、2025年100大革新クラスター順位発表”. 韓国知識財産研究院.
https://www.kiip.re.kr/board/trend/view.do?bd_gb=trend&bd_cd=1&bd_item=0&po_item_gb=IORG&po_no=23887, (参照 2025-11-03)
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