2022年3月28日月曜日

【IP ISSUE】 ロシア、非友好国の特許盗用許容?

ウクライナ侵攻と経済制裁

今年2月、ロシアがウクライナに侵攻することにより、多くの国がこれを非難し、経済制裁措置を取りました。EUはロシア産製品の輸入を禁止し、米国もロシア産エネルギーの輸入を禁止しました。また、国際銀行通信協会の決済網からロシアの銀行が退出されました。経済制裁後、ロシアのルーブルの価値は30%近く暴落し、物価は急速に上昇しました。経済的制裁だけでなく、土地の財産権も制裁し、米国と欧州ではロシア特許庁との協力活動を中断することに決定しました。


▲ pixabay.com


ロシア、非友好国の特許盗用許容

世界的な制裁にもかかわらず、ロシアは戦争を続けています。むしろ経済制裁に加わった国々を非友好国に指定し、報復を始めました。LEDの核心素材である工業用サファイアの輸出を禁止し、海外債務をドルではなく価値が暴落したルーブルで償還することを決めました。また、3月10日には、非友好的な国の特許所有者に対する権利を保障しないと宣言しています。今回の宣言により、ロシアで特許を無断で使用しても、これに対する損害賠償訴訟や侵害訴訟ができなくなりました。


▲ pixabay.com



商標上の制約も無くすロシア

侵攻以来、ロシアには冷戦終結の象徴だったマクドナルドを始め、イケア、サムスン、ネットフリックスなど50以上のグローバル企業が撤退を決めました。ロシア検察は撤退した企業の資産を差し押さえると警告し、ロシア政府も差し押さえた資産を国有化する方針を議論しました。 また、特許だけでなく一部の商標権についても保護廃止も検討中だと知られています。もし、商標保護が廃止されたら、ロシアを撤退したグローバル企業の名称を現地の会社が無断で使うことも可能であると予想されます。


▲ mcdonalds.ru


ロシアの国際的孤立

ロシアは、国防、安全保障に関する緊急時、シフトウェア、データベースおよび統合回路技術などの知財権の盗用を許可する「強制免許メカニズム」規定を定めています。この規定に基づいた今回の措置は代替不可能な知的財産権にも適用され、非友好国に指定してない場合にも特許を盗用することが可能となりました。以前からロシアの知的財産権侵害は問題になってきたが、今は公開的に侵害を宣言したことに代わりません。


▲ pixabay.com


国際的な条約も無視するロシアは、国際社会から孤立されています。今回の決定に対し各国特許庁がどのように対応するのか帰趨が注目されます。



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