2022年2月7日月曜日

【IP ISSUE】 エネルギー市場を主導する水素特許、アジアの成長

 最近注目を集めている環境にやさしいエネルギーの中で、水素エネルギーは再生可能エネルギーに分類される燃料電池の主なエネルギー源でもあります。水素がエネルギー生産の燃料として脚光を浴びている理由としては、他の化石燃料と違って燃焼の際に二酸化炭素排出なしで綺麗だからです。

今回は水素生産から貯蔵、運送、充填、利用に至るまで全周期の水素value chainに関する内容だけでなく、特許動向を組み合わせて紹介します。


1. 水素経済時代の台頭 

現在、米国、日本、欧州では伝統的な化石燃料基盤の生活やエネルギー源を水素エネルギー基盤に変化させた水素都市モデルが実証、拡散されています。環境にやさしい水素エネルギー源生態系が造成されたクリーンな都市へのインフラ変革を伴う産業育成を牽引する革新成長のモデルとして水素経済の概念が新たに提示されています。


2. 水素バリューチェーン(Hydrogen Value Chain)

水素エネルギーのバリューチェーン構造は水素の生産、貯蔵 ・ 運搬と利用から構成されます。水素は化石燃料及びバイオマスからのメタンガスなどを改質して得ることができ、精油及び製鉄工場などの副生水素の活用、新再生エネルギーを活用した水の電気分解など、様々な方法により生産することができます。多様な方式で生産された水素エネルギーは気体、液体及び固体の多様な形態で大規模貯蔵及び運搬が可能であり、燃料電池を利用して家庭 ・ 産業、輸送、発電用機器など色んな消費部門のエネルギー源として利用されます。下記から提示される特許動向および水素Value Chain各段階における主要企業の現況を通じて複雑な水素経済の変化を把握するのに少しでも役に立ちたいと思います。


<水素バリューチェーン構造>

3. 水素エネルギー特許動向

水素Value Chainの中で、最も重要な水素生産段階と貯蔵段階の分析を行いました。


◎ 水素生産

様々な水素生産方法の中で最も活用されているリポミング、ガス化、電気分解方法について年度別、国別、出願人動向を確認しました。


<年度別出願動向>



<出願人別出願動向>

リフォーミング > 電気分解 > ガス化の順で特許出願比重が高く、効率性および生産単価のメリットがあるためリフォーミングによる水素生産の比重が高かったが、最近二酸化炭素を排出しない電気分解方法により技術的方向が変化した現象があります。また、水素生産関連の主な出願人としては、日本国籍の出願人が特許出願件数及び技術的優位を占めており、関連特許について詳細な分析を確認する必要があります。

◎ 水素貯蔵

生産された水素を運搬するための水素貯蔵段階関連市場が次第に拡大すると予想される中、韓国の企業が水素貯蔵タンク事業を本格化しています。20年間の有効特許データの動向を通じて、年度、出願人別の推移を確認しました。


<年度別出願動向> 

液体水素貯蔵技術は出願人数と出願件数いずれも急速に増加する成長期です。2000年代半ば、欧州、米国、日本国籍の出願人を中心に特許が出願され、2010年代初、中は日本国籍の出願人が中心でありました。2017年以降は、国別出願状況と同様に韓国及び中国国籍の出願人による特許出願が活発に行われる傾向があります。


<出願人別出願動向>


出願件数の多い上位20の出願人を見ると、LINDEが21件で最も多く出願し、KAWASAKI HEAVY IND (16)、GM GLOBAL TECHNOLOGY (16)、TOYOTA MOTOR (15)、PANASONIC (14)、AIRLIQUIDE (13)、MARTIN MARIETTA (13)の順であり、出願人の国籍を見ると、韓国 (6)、日本 (6)、米国(4)、欧州 (3)、中国 (1)の順であります。


<水素Value Chain別の韓国主要企業の現況>


Production

DUCKYANG

-       Koreas No.1 Production

-       High Purity (99.9999%) Hydrogen

Storage & Transport

GS Caltex

-       International standard certification for hydrogen stations.

KOGAS

-       Hydrogen transportation infrastructure and charging stations

Utilization

Hyundai Motor

-       The world's first hydrogen-electric vehicle mass production.

DSME

-       Production of eco-friendly ships using hydrogen

                               <水素Value Chain別の韓国を代表する企業事例>


時代的 / エネルギー関連技術のトレンド変化から見て、水素エネルギーを利用した経済的、社会的要求と、近づく水素経済社会への徹底した事前準備及び具体的な技術方向を提示し、実行していく動力が必要であります。このような動力を得るためには、清浄水素の生産量の拡大と生産費用の削減、水素供給に活用する再生エネルギーの拡大、流通インフラの拡充、水素自動車価格の引き下げのような民間市場での市場体系が構築されなければならず、これを支えるガイドラインを提示できる政策的な裏付けが並行されなければならなりません。


* 参考資料

-水素経済の経済的、技術的イシュー (韓国ポスコ経営研究院)

- 水素経済活性化ロードマップ (韓国政府関係省庁配布資料)

- 水素経済活性化ロードマップによる2020年度主要事業及び今後の考慮事項(国会予算政策処) 



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