2021年12月21日火曜日

【IP ISSUE】 医療ロボット特許の出願動向

 医療ロボットの特許はどれくらい出願されたのか

様々な産業で活用されているロボット(Robot)技術は人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、クラウド(Cloud Computing)、AR(拡張現実)などもっと高度化されています。二重医療サービスを提供するロボット産業も持続的に成長しています。 医療ロボットには、手術遂行/補助またはシミュレーション関連のロボット、診断/検査用のロボット、リハビリテーションロボット、製薬ロボットなどがあります。マッコーリーコンソーシアムによると、世界の医療ロボット市場の規模は2017年の17億ドルから2025年には134億ドル規模に成長し、手術関連ロボットは市場の約70%以上を占めているといわれています。それでは医療ロボット関連特許はどのくらい出願されたか紹介していきたいと思います。今回の特許動向では、最近20年間医療ロボット関連特許の出願の流れを見ていきたいと思います。


▲医療ロボット市場規模(サービスロボット市場動向、情報通信技術振興センター、2017)


最近20年間の出願推移は?

米国、中国、韓国、日本、欧州で出願された医療関連ロボット特許は2000年代から増加していましたが、2015年以降急激に増加されました。特に中国出願が急激に増えました。全体出願規模側面からも米国を追い越した状況です。現在、特許全体の約43%が中国から出願されており、米国は約28%を占めています。中国政府(国家食品医薬品監督管理総局)によると、中国医療ロボット市場は2014年以降、年平均10%の成長をし、2018年には1億3千万ドル(1億3千万ドル)を超え、今後約5年間、年平均15%の成長を続けていくと予想しています。過去には積極的な政府の政策を基にリハビリテーションロボット中心に成長しましたが、これからは手術ロボットが主になると予想されています。 




特許を最も多く出願した企業は?

1995年に設立されたIntuitive Surgicalは手術用ロボット「ダ·ヴィンチ」で、手術ロボット界を支配しています。特許出願も最多です。2位のCovidienは手術縫合装置などの医療機器メーカーです。外科手術ロボット関連特許を多数出願しています。2015年、多国籍医療機器、サービス、ソリューション専門企業であるMedtronicに買収されました。Medtronicは2018年、脊椎手術ロボット企業Mazor Roboticsを買収し、規模を拡大させました。



3位のEthiconと4位のAuris Healthは、グローバルヘルスケア社のJ&Jが買収した子会社で、手術ロボット専門企業です。また、J&JはAlpabetとの合弁で設立した手術ロボット関連企業のVerb Surgicalの残りを買収し、多くの特許を確保しています。J&J (Family of Companies)全体を見れば出願規模が小さくありません。実はJ&JとMedtronicは、手術ロボット企業のM&Aを持続的に推進してきました。業界最強者のIntuitive Surgicalとその後を追うMedtronic、J&Jの競争構図で、今後どのような変化があるか期待しております。



国別出願の割合をみると、中国出願人は自国に出願が非常に集中していますが、オランダのPhilipsとイギリスのCMR Surgicalは全般的に均等に出願している状況です。CMR Surgicalは、手術ロボット関連のスタートアップであり、手術用ロボットシステム「ベルシウス(Versius)」を開発しています。2014年の創立以来、10億ドルの投資金を確保しており、現在の価値が30億ドルと評価されるなど、注目を集めている企業です。

https://youtu.be/Q3OnXsewa-A

▲CMR Surgicalロボットシステム紹介YouTube


特許の競争力を確認してます。

特許は量だけでなく質が重要です。次は、WIPS Globalのスマートアングルを活用して、上位出願人のIP競争力を確認します。質的レベルとともに、商業的技術レベルをも確認することができます。出願人 / 出願人の国籍による技術影響力指数(CPP)、市場支配力(PFS)の分析結果を活用しました。1、2位間の対照的な結果となっています。Intuitive Surgicalは相対的に市場支配力が強いが、Ethiconは技術影響力が強いことがわかりました。


▲ WIPS Globalスマートアングル > IP競争力分析

一方で、Auris Healthは、市場支配力は弱いですが、技術影響力は平均以上に属します。Abbottも似たような傾向があります。 2017年米国の医療機器専門企業Abbottに買収されたセントジュードメディカルの特許で、1976年に設立されたセントジュードメディカルは心臓関連の診断及び治療に特化されています。人工心臓弁膜を開発し、その後、世界で初めて4極電極システムを基にした心臓除細動器を発売しました。主に心血管治療に活用できるカテーテル(手術用細いもの)ロボットシステム関連特許を出願しました。


国別Top5出願人は?

中国は2016年、産業用ロボット市場を積極的に育成しています。中国の国家研究機関である中国科学院(CAS)とハルビン工業大学の出願が最上位圏であることが明らかになりました。5位のEdge Medicalも有名です。2017年に設立された医療ロボットのスタートアップであり、最小侵襲手術が可能な腹腔鏡手術ロボットを開発しており、最近9000万ドルの投資を受けたそうです。

一方で、米国は全体順位上、最上位圏の企業がほとんどです。この中で、Globus Medicalについて紹介すると、2003年に米国に設立され、人工関節など整形外科関連のロボットシステム企業として脊椎インプラント市場を先導しております。




次に韓国、日本、欧州の上位出願人について見てみましょう。韓国はIntuitive Surgical以外に、ミレカンパニーとキュレックソの出願が最も多く、漢陽大学とサムスン電子の順です。1984年に設立されたミレカンパニーは産業用品企業からスタートしましたが、事業の多角化のために手術ロボットや3Dセンサー市場に進出しました。腹腔鏡手術ロボットのRevo-iを販売しています。2006年に設立されたキュレックソは、韓国1位の人工関節及び脊椎手術ロボットキュービス(Cuvis)を販売しています。サムスン電子も手術ロボットとリハビリロボット関連特許を出願したことが確認されました。


▲ミレカンパニーとキュレクソの手術ロボット


日本はPhilipsとMedicaroidが目立ちます。Philipsは、グローバル医療機器メーカーです。診断装備に関するロボット技術の出願が多いです。Medicaroidは、2013年産業用ロボットで有名な川崎重工業(Kawasaki)と医療診断機器専門企業のシスメックス(Sysmex)が合弁で設立した会社であり、手術ロボットを開発しております。日本初の手術ロボットであるヒノトリ(Hinotori)がMedicaroidの製品です。




核心キーワードは何だろう?

WIPS Globalのスマートクラウドで技術キーワードを見てみましょう。スマートクラウドは、人工知能技術を適用したキーワードクラスタリング結果で、ビジュアルチャートで直感的に技術分布の現況が把握できます。確かに医療ロボット分野では手術ロボットの比重は高い方ですので、手術器具 / ツール(Surgical Instrument / Robot / Tool)関連のキーワードが多いようです。これらを除いてはEnd Effectorが一番多いですね。End Effectorは、ロボットアームにある装置(Device/Tool)で、人に例えると手だと考えられます。 その他、fixedly connected、Connecting Rod、Rehabilitation Training、Tail Endなども確認できます。


▲ WIPS Globalスマートクラウド (画像をクリックすると拡大)

20年間に出願された医療ロボット関連特許動向を紹介しました。医療サービスロボット産業の持続的な成長が予想されていますが、一方では競争が激しくなっています。関連企業が技術優位を占め、市場支配力を拡大するためにどのように動くのか期待しております。


(脚注)

1.サービスロボット技術、どこまで発展してきた? 2017.09.18

(https://www.hellot.net/news/article.html?no=36416)

2.欧米を脅かす中国医療ロボット、どう成長したか 2021.02.08

(https://www.edaily.co.kr/news/read?newsId=01354646628948552&mediaCodeNo=257)

3. CMR Surgical、ソフトバンクなどから6億ドルの投資誘致 2021.6.30

(https://www.irobotnews.com/news/articleView.html?idxno=25449)

4.中国の医療ロボット企業「Edge Medical Robotics」、9260万ドル投資誘致、2021.01.28

(https://www.irobotnews.com/news/articleView.html?idxno=23768)



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