【IP ISSUE】ストリートファッションブランドシュプリーム＆パチモノシュプリーム

人気ストリートブランドシュプリーム

シュプリーム(Supreme)は、1994年にニューヨークで誕生したアメリカのストリートファッションブランドです。
ブランドをランチングした後、ニューヨークのCalvin Klein(カルバン・クライン)の下着広告に自社のロゴシールを無断でつける独特なマーケティングでCKから訴えられましたが、この事件を契機に消費者にシュプリームという存在を強く刻印させました。
それ以後、若者たちのトレンドとして位置づけて現在まで多くの人気を集めています。

▲ flickr.com ⓒ Sunghwan Yoon(jacopast)

パチモノシュプリームの登場

先日、サムスン電子の中国法人はギャラクシーA8sモデルの発売イベントでホットなブランド「シュプリーム」と協業するとの内容を発表しました。
しかし、協業を発表したこのシュプリームはアメリカの本当のシュプリームではなく、イタリアのパチモノシュプリーム(以下、シュプリームイタリア)であることが明らかになって多くの論難を起こしました。
この事実を知ったサムスン電子は、シュプリームイタリアとの全ての協業を取り消すと発表しました。
実際に中国内のシュプリーム商標の保有者や本当のシュプリームではなくシュプリームイタリアで、現在スペインとイギリスで店舗を運営していることが明らかになりました。
しかもシュプリームイタリアは自分たちは模造品の製造会社ではなく中国とその他地域にも事業を拡張する計画であり、全世界約70カ国に商標を登録したと主張しました。

▲ flickr.com ⓒ Helen Alfvegren(Rockspindeln)

本物のシュプリームの商標盗用告発

アメリカのシュプリームは、シュプリームイタリアを相手に商標侵害訴訟を提起したことがありますが、イタリア裁判所は訴訟でシュプリームイタリアに没収判決を下して自国での販売を禁じました。
しかし、ヨーロッパ特許庁は「シュプリーム」という単語が普通名詞に該当するため、商標登録要件に合わないとのことで商標登録要請を撤回しました。
その後、シュプリームイタリアは現在まで合法的に販売されているだけではなくシュプリームスペインなどまた別のブランドが登場するまでになりました。

▲ intomark.com INTOMARK商標検索＜シュプリームのアメリカ登録商標＞

予告されていた模倣紛争

実は、「シュプリーム」という単語で商標を登録しやすい国はあまり多くないと思われます。それにも関わらずアメリカのシュプリームは自社の商標権保護をあまり気にしていなかったようです。
シュプリームイタリアとの紛争以後、いくつかの国で商標権を確保するために遅れて努力していますが、異議申立が提起されるなど順調に進んでいないと知られています。
韓国でもシュプリームのパチモノを購入することはあまり難しくないですが、韓国の国内に商標が登録されていないのでこれを取り締まる法的根拠も設けれていないのが事実です。
ブランド権利の確保戦略不在で被害をそのまま受けているシュプリームがその代表的な例だといえます。

▲ flickr.com ⓒ Fred Romero(corno.fulgur75) ＜Barbara Krugerの作品＞

本物のシュプリームは模倣から自由なのか？

実はアメリカのシュプリームもランチング当時、80年代の芸術家Babara Kruger(バーバラ・クルーガー)の作品を借用してロゴを作りました。
また、クルーガーの作品を借用して広告コピーを作ったりもしました。
97年にはフランスファッションハウスから自社のモノグラムを盗用したとの理由で訴えられて販売停止命令を受けたこともあります。
盗用と共に広く知られたシュプリームが自分たちを盗用した企業から被害を受けているこの状況がとてもアイロニカルに思われます。
それにも関わらず多くの人々から最高の人気を集めているシュプリームがこの状況をどう乗り越えるか今後の動きが楽しみです。

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