2024年10月22日火曜日

【IP ISSUE】自己主張が強い最近のスニーカー、スニーカーのデザイン紛争

「個性の強いスニーカー」時代

皆さんはスニーカーを選ぶとき、何を最も大事に思いますか?履き心地、価格、デザイン、ブランドなど…色んな決定要素がありますが、SNSの発達に合わせて「消費や好みが私を表す」という認識がもっと強まったようです。これによってデザインやブランド要素みたいに「見えるもの」が購入を決めるのにもっと強く作用する今日です。

▲ Clipartkorea.co.kr

靴下みたいなあのスニーカー、Balenciaga以外にもある?

韓国では何年か前、靴下のようなスニーカーが流行りました。名品ブランドBalenciagaが発売した「スピードシリーズ」です。ニート素材の一体型デザインで「ソックススニーカー」の流行を先導したアイテムで今までも色んなラインアップで販売されています。

▲ 今まで様々なデザインで発売されたBalenciagaのスピードシリーズ
<出処:https://www.balenciaga.com/ko-kr>

この製品を100メートル外からも「あ、あれはBalenciagaだ!」とわかるようなデザイン要部は、独特なニート素材とボルドで男性的なラインの底で、Balenciagaはこの部分に対してデザインIPで登録して保護されています。

▲Wipsglobal.com、D968055 S1、「Balenciaga登録デザイン」

もちろんとても多くの人気を集めて、値段も高い製品だったのでこれと類似するイメージを持つ後発製品も多数登場しました。代表的なSPAブランドのZARAでは色んなソックススニーカーラインの製品を披露して人気を集めました。Baleciagaでデザイン権で保護されている底の部分を重点的に変形しましたが、全体的な感じはソックススニーカーで類似して、ひと時(スピードランナーの偽物の)「ザピードランナー」というあだ名も生じました。

▲ ZARAで発売されたソックススニーカーモデル
<出処:zara.com>

このように類似するデザインでイシューになった事例は数多くありました。イシューに留まらず訴訟、紛争に繋がる事例もやはり多数存在します。その中からいくつかをご紹介します。

HermesとSketchersのスニーカー、靴底が似てる?

最高級名品ブランドのHermesもやはり、訴訟の対象になることを避けられなかった事例があります。
2022年エルメスから発売した「エクレア(Éclair)」と「アンヴォル(Envol)」スニーカーは独特な形状の底で注目を集めました。波が交差されたみたいに独特な波模様がエルメスの代表カラーのオレンジ色と結合してもっと目立つデザインでした。しかしこのデザインがすぐ訴訟の対象になりました。

▲ (左)ヘルメスのアンヴォルとエクレア <出処:Hermes.com>
(右)SketchersのGo WalkシリーズMassage Fit <出処:sketchers.com>

アメリカのアウトドアブランドでランニング靴で有名なSketchersはこのエルメスデザインに対して、自社のGo Walkワーキング靴のMassage Fitの波模様そこに対する二つのデザイン特許(D925183, D965263)を侵害したと主張しました。

▲ WIPS Global.com HermesとSketchersの対象デザイン図面比較

実際にスケッチャーズが保有する登録デザイン権D925183とD965263は請求項でも底の特徴に関して技術していて、登録された図面もまた底部分を実線で表現して保護範囲を指定しています。これにスケッチャーズはヘルメスの靴底が自社製品のあれと「実質的に同一(
substantially the same)」と表現して金銭的損害賠償及び侵害禁止命令を要請しました。2022年10月に始まったこの訴訟(1:22-cv-08862)は幸い2023年5月にスケッチャーズとヘルメスが機密合意を進めて、原告のスケッチャーズが訴を自ら取下げ(voluntary dismissal)して終結しました。

Nike VS BAPE、歴史の長かった論争


▲ NikeのDunk LowとBAPEのSK8 STA <出処:lesitedelasneaker.com>

Nikeも日本のストリートファッションブランドであるBAPE(A Bathing Ape)と訴訟中です。1993年に設立されたBAPEは日本のみならず北米やヨーロッパでも幅広い人気を集めてHiphopの象徴のようなブランドで認識されています。BAPEの名を高めた要素は色々ありますが、その中でもNikeをオマージュしたようなデザインのスニーカーもとても愛されましたが、その「似たような感じ」が問題になりました。

▲ ストリートファッションブランドBAPE <出処:sneakernews.com>

パクリ論難の始まり(2009年)
Nikeは(BAPEがアメリカ販売を始めた)2005年から続いたパクリ論難を解決するためにエアフォースと類似すると話題になった「BAPE STA」モデルに対してむしろライセンス契約を提案するなどそれなりに友好的な方法で解決方法を模索したとみられます。しかしあまり効果がなく数年が経った後、2021年ごろから侵害の規模が急激に大きくなったとみられ、2023年にはNikeがついに訴訟という対応をして二社の対立が高まりました。

NIKE、BAPEを訴える(2023年1月)
NikeはBAPEの主要スニーカーがNikeの「AirForce1、AirJordan1、Dunk」など自社の象徴的なデザインを模倣したと2023年1月、商標権侵害訴訟(1:23-cv-00660)を提起しました。
実際の提出文書に含まれた製品の登録商標権と実際の比較写真(下)を見ると、Nikeの立場も理解できます。

▲ Nikeが訴訟字に提出したNikeとBAPEの世品比較 <出処:vitallaw.com>

BAPE、訴訟に全面反論する
しかしBAPEはNikeが提起した訴訟に全面的に反論しました。BAPEの弁護人はNikeの主張が自社スニーカーのBAPE STAといくつかの*トレードドレス要素を十分に把握できていないと指摘して商標権侵害中断要請をしました。

*トレードドレス:特定人の商品を他人の商品と区別できるようにする総体的な「商品のイメージ」または「総合的な外形」を意味する。アメリカでは商標の一つの類型でトレードドレスを明示して知的財産権として保護している。トレードドレスの代表的な例としては、商標登録されたアップルストアケースがある。

NIKE、BAPEの棄却申請に反対する
しかしNikeは既存に保護されていた登録商標権に対する有効さに合わせてBAPEモデルの類似性を再び強調しました。トレードドレスの保護観点からの提出された証拠が十分である点などを主張してBAPEの棄却申請に反旗をあげました。


訴訟の終結、NIKEとBAPEの合意(2024年3月)
これに裁判所はNikeの肩を持ち、Nikeが登録商標権利の有効性に対する強力な根拠を提供したたお判断しました。Nikeの登録商標は製品の外観の特徴を確立するのに十分であるとみなされて、BAPEはもっと具体的な訴訟が必要であると主張した内容を棄却しました。

▲ NikeとBAPEの訴訟に関する判決文 <出処:vitallaw.com>

これで2023年1月から続いたNikeがBAPEを相手に提起した商標権侵害訴訟は終結されて、BAPEはNikeのAirForceと類似するBAPE STA、Dunkと類似するSK8 STAのデザインを修正することにして、
BAPE STA Mid、Court STA、Court STA Highモデルの販売を中断することに合意しました。

ファッション業界でリーダーで生き残るには…


▲Clipartkorea.co.kr

今までスニーカーデザインを囲んだ紛争事例をいくつか確認してみました。今回のケース以外にもファッション業界では本当に数多くの盗用、コピー、紛争、訴訟などが存在します。ファッション業界では短い流行周期に合わせて模倣商品を真似して生産しやすい点、盗作基準の判断が曖昧である可能性がある点などから紛争の予防及び判断が簡単ではなく、オマージュ*またはパロディーという概念で、時には盗作と再創造の境界がぼやけるときもあります。そのため、こんな事例は当時の時流を反映して知的財産権に対する大衆と業界の認識を変化させることもある点から重要なレファレンスになります。もちろんIPになれていない一般の人たちにももっと健康な消費ができる道しるべにもなると思います。
ファッションと流行が存在する限り継続すると思われるデザイン紛争のストーリを今後もWIPSがお届けしたいと思います。


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