2024年2月23日金曜日

【IP NOTE】ソフトウェアとビジネスモデル(BM)、特許になれるか

技術が早く発展して以前になかった新しい形の発明が増加しています。グローバル的にIT時代を迎えて新しいソフトウェアが引き続き誕生していて、経済と産業トレンドに合わせて様々な事業モデルもまた相次いで創出されています。このような流れの中でソフトウェアとビジネスモデルが知的財産権として保護されるか、特許になれるか気になります。今回のポストでは、伝統的な知的財産権の範疇としては保護が難しい*ソフトウェア*ビジネスモデル(BM)の出願動向及び法的保護方法について調べてみたいと思います。

*ソフトウェア:コンピューターハードウェアの反対の意味で、ハードウェアに直接命令したり他のソフトウェアに入力を提供して命令語の機能を遂行
*ビジネスモデル(BM):会社の事業のためにどんな価値を生み出し、どのように伝達して、どう収益を得るかに対する模型

ソフトウェアとビジネスモデル(BM)

21世紀の頭から研究、開発される対象の90%はソフトウェアに関するものでした。コンピューターで具現された発明たちをほぼすべての技術分野で探せるようになりました。このような様相は特許出願にも反映されていて、コンピューターで具現された発明の大半はソフトウェアを基盤にしています。ソフトウェアの発展は1960年代に遡ります。過去のソフトウェア開発は主に*メインフレーム及びミニコンピューターのコンピューティングに重点が置かれていましたが、今日では個人用、万能及び組込みコンピューティングのためのソフトウェア開発にもっと細分化しています。

*メインフレーム:数多くのユーザーとアプリケーションおよび装置を多数に支援できるコンピューターで、大型コンピューターは統計データや金融関連の電算業務、全社的資源管理のような複雑な作業を処理

特許として保護できるか

▲ Clipartkorea.co.kr

過去にはソフトウェアたちが主に著作権を通じて法的に保護されていましたが、現在は多くの企業が特許を通じてソフトウェアに関する発明を保護しようと努力しています。一例として、SAPソフトウェアグループは、1998年に自体特許部署を設立しました。2001年5月SAPは当時4つのソフトウェア関連特許を保有していました。この時期を経て国際市場競争で特許の影響がどんどん重要になってきました。

ソフトウェア特許のブームのきっかけは1992年にありますが、これはアメリカでソフトウェアの特許登録を可能にした*Freeman-Walter-Abele試験(2段階テスト)に導いた革新的な法廷判決から起因します。1998年にはこの試験がアメリカで*State Street Bank法廷判決に代替されて、数学的アルゴリズムが単純アルゴリズムではなく、結果が具体的で実質的なものに繋がれば、特許を受けられるようになりました。この判決はアメリカでのビジネス方法(BM)特許時代の始まりを知らせました。実際にこの判決を機に2000年代に世界でソフトウェアとビジネス方法についての特許出願及び許可された特許数が急増することになりました。2段階テストに関する内容はAlice判決と共に以下で詳しくお話します。

*Freeman-Walter-Abele試験:1段階は、クレームが直接または間接的に数学的アルゴリズムを含んでいるか有無を検討する。数学的アルゴリズムを含んでいない場合、特許の対象になれない。2段階は、もし数学的アルゴリズムを含んでいる場合、それがどのような方法でも物理的要素や方法に応用されていたり、又はアルゴリズムを除外しても他のところで保護の対象になるかの有無を判断する。この二つのテストを満たす場合、その発明は特許の対象になる。

*State Street Bank法廷判決:請求項が何の応用もない数学的アルゴリズムそのものを請求している場合には特許性を否定すべきだが、請求項に記載された数学的アルゴリズムが有用で具体的で類型的な結果をもたらす場合、特許性を認めた判決。


コンピューター具現発明(Computer-Implemented Inventions, CII)

ヨーロッパ特許庁でソフトウェアは特許として曖昧であるとみなされます。なぜなら、ソフトウェアはアルゴリズムを具現するためにプログラミング言語で作成されたプログラムリストを示して今sぐあ、コンピューター基盤装置にロードされたコードを示す場合もあり、同伴されるドキュメントも含まれる可能性があるためです。なので、このような曖昧な用語の代わりに*コンピューター具現発明の概念が導入されました。コンピューター具現発明はコンピューター、コンピューターネットワークまたは他のプログラミング可能な装置を使用している場合の一つ以上の特徴がコンピュータープログラムを通じて完全にもしくは一部が具現される場合を示します。

コンピューター具現発明が特許として認められるためには、技術的な問題が新しく明白ではない方式で解決される必要があります。また、コンピューター具現発明は特許として新しく、創意的な段階を含んでいて、産業的な適用が可能でなければなりません。更に、特許の保護においていずれの技術分野の発明に該当されていなければならないのが基本規定です。

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控訴審の判例からみる特許可能性

EPOの判例において、技術的なプロセスの制御または実行はハードウェアやソフトウェアで具現される方法と関係なく、特許可能性から除外されないといいます。判例によると、プロセスが特殊回路を通じて実行されるかまたはコンピュータープログラムを通じて実行されるかは経済的、技術的要素によって違うので、コンピュータープログラムが含まれるという理由で特許可能性を拒否してはいけないとしています。

特許で保護されるコンピューター具現発明(CII)には、コンピュータープログラムとコンピュータープログラム製品があります。この形で請求された対象物はコンピュータープログラムがコンピューターで実行されたりコンピューターにロードされる時にコンピュータープログラムと実行されるコンピューターハードウェア間の「普通」の物理的相互作用を超えて「追加的な技術的効果」をあげられる場合には特許になれます。プログラム実行による一般的な物理的効果、例えば、電気の流れのようなものだけではコンピュータープログラムに技術的な特性を付与するのに十分ではなく、追加的な技術的効果が必要です。

また、ビジネス遂行のための計画、規則及び方法(BM)はビジネスをする方法そのものでは特許になれません。しかし、単に行政的な機能ではなく、技術的問題を解決する新しい方法は実際に特許になれます。


各国の特許庁別に発明に該当しないもの

以下は、各国の特許庁で発明として認めない項目を羅列したものです。発明に該当しない項目を見てみると、なぜソフトウェアとビジネスモデルが特許可能性を認められるのに多様な観点からの審査と法的、制度的考慮が必要なんかがわかります。発明に該当しない項目に該当して技術的な創作性を持っているため、特許適格性をより深く判断しなければならないためです。

Alice判決と2段階テスト

2014年に下されたAlice判決は、ビジネス方法の特許可能性をどう見るべきかに対する示唆点を与えます。この判決はAlice Corp.とCLS Bankの間の法的紛争で下されたもので、当時アメリカ連邦最高裁判所は仲介決済を安全にできる方法(電子エスクローの一つの形)の特許可能性を認めませんでした。このようにAliceの特許を無効に判決することで、裁判所は特許適格性判断のために2段階テストという新しい手順を導入しました

▲ EPOでのコンピューター具現方法(CII)申請書評価のための2段階接近

このテストは、まず主張された発明が抽象的なアイディア、自然現象、自然法則、数学的公式または類似する抽象概念に関するものなのかを確認します。もし羅列した概念に該当すると、裁判所は二つ目の段階に進めて主張された発明が抽象的な概念をどう具現したのか創意的な概念を含めているかの有無を検査します。Aliceテストによると、主張された発明は自然現象や抽象的なアイディアに相違的な概念または創作性が一緒に含まれている場合のみ特許可能です。もしその程度の創意性、創作性を持っているのであれば、対象請求項は特許登録ができます。

アメリカ特許商標庁(USPTO)のビジネス方法審査グループはAlice判決に迅速に対応しました。金融と関連する特許の許容件数はAlice判決以前の値の10%に減少しました。特許控訴及び控訴委員会も似たような方法で反応しました。特許審査官によるビジネス方法拒否に対する控訴の約20%のみ控訴委員会で結果が裏返されたそうです。これは特許に認められるほどの創意性と創作性を持っているのが容易いことではないことを意味します。

▲ ソフトウェアと比較したAlice判決以後のビジネス方法関連特許減少

ここまでソフトウェアとビジネスモデルを見る特許的観点について調べてみました。4次産業革命以後、ソフトウェアを始め各種IT技術、そしてビジネスモデルの特許適合性を判断することはどんどん増加してくると予想されます。特許権を確保することは技術保護と産業発展のための第一歩でもあるので、新しい形態の発明を保護するための法律と制度が体系的に発展して整備されることを期待しています。更に、新しい発明が法律の保護を受けて企業または個人の競争力につながり、産業発展の原動力になることを祈ります。

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1. 本文中「ソフトウェアとビジネスモデル(BM)」、「コンピューター具現発明」、「控訴審判例からみる特許可能性」、「各国の特許庁別に発明に該当しないもの」、「Alice 判決と2段階テスト」に関する内容Patent management : protecting intellectual property and innovation 2021, Oliver Gassmann, Martin A. Bader, Mark James Thompson, Springerから抜粋及び参考しており、その他内容はWIPSで作成しました。
2. 「ソフトウェア」、「ビジネスモデル(BM)」、「メインフレーム」‐ Wikipedia(https://ko.wikipedia.org/)参考
3. 「Freeman-Walter-Abele試験」、「State Street Bank法廷判決」に関する説明は"ビジネスモデル(Business Model)の発明としての成立性"、Lee Doohyungから抜粋及び参考しました。


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