韓国はこれまで決済サービスインフラの影響でSamsung Payの占有率が圧倒的でしたが、最近Appleが韓国でもApple Payサービスを開始すると知られて、多くのiPhoneユーザーたちの注目を集めています。
これまで韓国ではなぜサービスしていなかったか?
既に63か国でサービス中のApple Payをなぜ韓国では使えなかったでしょうか?
その理由は決済サービスの動作方式が違うからです。
Samsung PayとApple Payなどの非接触決済サービスの動作方式は大きく「MST方式」と「NFC方式」に分かれます。
Smasung PayはMST方式を、Apple PayはNFC方式を使用しています。
しかし、韓国のほとんどのカード決済加盟店でMST方式を使用していてMST方式のSamsung Payの占有率が圧倒的であるため、AppleはApple Payの韓国進出に微温的であるしかなかったです。
MST vs NFC
MSTは、「Magnetic Secure Transmission」の略語であり、マグネティックセキュリティ転送方式です。
簡単に言うと、実物カードを引いたり刺して決済する方式で、決済時に発生する磁場の変化を感知して決済がなされる原理です。
韓国では、ほとんどのオフライン決済時にこのMST方式で決済がなされて、Smasungはこの点を的確に攻略しました。
以下の技術は2015年にSamsungが出願した決済方法に関する特許です。
SamsungはGalaxyを含めて自社のスマート機器にMST、NFCモジュールを搭載してカード決済端末に該当機器を近づける行為だけでも決済される技術を開発しました。
この技術の特長はMSTのみならずNFC決済にも対応できるというところです。
NFCモジュールの搭載によってNFC方式の決済端末でも円滑な決済が可能です。
それではApple PayのNFCはどんな技術でしょうか?
NFCとは、「Near Field Communication」の略語で近距離無線通信です。
韓国でよく使われる交通カードにこのNFC方式が使用されています。
周波数を利用して近い距離でデータを交換できる技術であり、MST方式よりセキュリティと認識率、速度に特長があります。
現在アメリカとヨーロッパなど海外ではほとんどNFC方式のみを使用しており、Apple Payの他にGoogle PayもこのNFC方式を活用しています。
▲Wipsglobal.com US 10019699 「Appleが開発した"Methods for adjusting near field communications circuitry during mobile payment transactions"」 |
Appleは2014年に周波数を利用してカード決済端末にスマート機器を近接させると素早く決済される技術を特許出願していて、これが現在のApple Payの基本原理になっています。
まだ超えるべき山が高い!
前述したようにNFC方式がMST方式より長所がはっきりとしていますが、韓国でApple PayがSamsung Payを乗り越えるにはまだ山が結構高いように見えます。
まず、決済インフラが最も大きい妨げです。
韓国のNFC決済端末の普及率は約5%ほどですが、NFC端末普及を含めて決済インフラがちゃんと構築されていなければ、NFC端末が必須のApple Payが中途半端なサービスになる可能性があります。
通信規格に対する工夫も必要です。
Apple PayはEMVという規格を使いますが、これは1993年にEuro Pay、Master Card、Visa Cardが作った世界で最も広く使われる国際規格です。
しかし韓国は独自で作ったKLSCという規格を使用しています。もしAppleが韓国内でもKLSCの代わりに既存のEMV規格を固守すれば、Apple PayのためにEMV規格を使わなければならないカード会社が莫大な手数料をApple Payに支払わなければなりません。
Appleのもう一つの切り札
AppleがApple Payのみならずもう一つの切り札を韓国に披露すると予想されています。
「Apple Gift Card」がまさにそれです。Apple Gift Cardは、Apple Store及びオンラインストアでAppleの製品を購入する時に使える充電式カードであり、今まで韓国では購入及び販売ができませんでした。
▲Intomark.com 「Apple Gift Card」 |
しかし最近Appleは、Apple Gift Cardという商標権を韓国の特許庁に出願しています(Intomarkで確認可)。
業界ではこのことに対して、Apple Payのロンチングと共にApple Gift Cardの販売をも開始して本格的に韓国を攻略するのではないだろうかと見込んでいます。
今後どうなる?
現在までAppleの公式発表はありませんでしたが、いつもよりApple Payの韓国導入の可能性が高いのは事実です。
スマートフォンさえあればどこでも決済ができる非接触決済サービスがニューノーマルになった今、Apple Payが韓国に導入されれば消費者たちの便益増進にも寄与すると思われます。
相互の発展的協議を通じて散在する問題を解決し、決済サービス環境を改善できる方向に軟着陸できることを祈ります。
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