2022年12月13日火曜日

【IP ISSUE】ワールドカップの知的財産権について確認してみよう!

グローバルの祭典である2022カタールワールドカップが後少しで終わりを迎えています。
今回のカタールワールドカップは史上初で、冬に砂の風が飛び散る中東アジアで開かれるワールドカップです。

ワールドカップは世界最大のサッカー大会だけあって膨大な消費特需と広告効果を創出します。なので、ワールドカップにおいての知的財産権はもっと重要な意味を持ちます。
今回のポストでは、そのワールドカップの知的財産権について調べてみたいと思います。

▲2022カタールワールドカップエムブレム(出処:fifa.com)

FIFA公式スポンサーとは?
ワールドカップは開催費用がとても膨大で、その費用を用意するためにFIFA(国際サッカー連盟)で「FIFAパートナー」と「FIFAワールドカップスポンサー」の二つの公式スポンサーを選定して運営しています。

FIFAパートナーはワールドカップをはじめとしてFIFAが主催するすべての大会の用品と自動車、航空、プロモーション、マーケティングなど各パートを担当する企業を言います。
AdidasとCoca Cola、HYUNDAI/KIAなど7社のグローバル企業がこれに当たります。

▲FIFAパートナー (出処:FIFA Intellectual Property Guidelines)

FIFAワールドカップスポンサーは、名称通りワールドカップトーナメント期間中に用品と財政後援などを担当する企業を言います。
現在はバドワイザー、マクドナルドなど6社の企業がこちらに該当しますが、グローバル企業で構成されているFIFAパートナーとは違って、中国の企業が多数あるのが特徴です。

▲FIFAパートナー (出処:FIFA Intellectual Property Guidelines)

「ワールドカップ」をみだりに使ってはいけない
公式スポンサーは多くの資本と製品を後援するので、ほぼ独占水準の特権が与えられます。
競技に使われるサッカーボールから選手団のバス、水などワールドカップのすべての物品からチケットの取引に至るまでのすべてをパートナーとスポンサーだけが使用できます。

名称も公式スポンサーのみ使用できます。「FIFA」、「ワールドカップ(World cup)」、「代表選手名前」、「スポンサー」、「カタール2022」などの名称も公式スポンサー以外は使用できません。また、ワールドカップのマスコット、ポスター、マーク、エムブレムなど関連著作物と選手の写真も公式スポンサー以外は絶対使用してはいけません。

私たちもワールドカップで稼がせて!「アンブッシュマーケティング」
このように公式スポンサーだけにものすごい特典があるのですが、非公式スポンサーもただ見てるわけではありません。
ワールドカップという巨大特需を享受するために多くの企業が巧妙に「アンブッシュマーケティング」戦略を広げます。
アンブッシュマーケティングとは、巧妙に規制を避けるマーケティングを言います。

アンブッシュマーケティングは今回の2022カタールワールドカップでも活発に行われています。
既にスポーツ用品からファーストフード、銀行に至るまで一人の顧客でも多く誘致するための広告とマーケティングが盛んになっています。
▲非公式後援社のロッテリアとナイキのワールドカップ広告(出処: Lotte GRS / Nike.com)

FIFAの「知的財産権ガイドライン」に従うべき
アンブッシュマーケティングを含めてワールドカップを活用した行為が規定を守れば問題ないですが、どんどん巧妙で不正な方法でこれを悪用する事例が増えているのでFIFAでは6月に「FIFA知的財産権ガイドライン」を公式配布しました。
以下にFIFAの知的財産権ガイドラインの一部内容をご紹介したいと思います。

1)メディアー出版物及びデジタルメディア
FIFAの許可なしで競技結果を含めてワールドカップトーナメント関連内容が含まれているコンテンツメディアを無断でコピーしたり出版、ウェブサイトに掲載してはいけません。

▲出処: FIFA Intellectual Property Guidelines

2)ソーシャルメディア
・写真及びコンテンツ掲載
商業的意図なしでソーシャルメディアに写真を含めたコンテンツを自由に掲載、共有するのは可能ですが、これを商業的意図や特定製品、サービスの公報用として使用する場合、処罰される可能性があります。

・リーツイート及びコンテンツ共有
FIFAのツイートをリーツイートしたりFIFAの公式コンテンツ共有は許容されますが、これもやはり商業的な目的で活用する場合は処罰の対象になる可能性があります。

・ハッシュタグ
ソーシャルメディアのハッシュタグにFIFAの知的財産を利用して自分のプロフィールまたは商業的興味を誘発する場合、処罰される可能性があります。

▲出処: FIFA Intellectual Property Guidelines

3)モバイルとインターネットサービス/アプリケーション
モバイル、インターネットサービスとアプリケーション使用で商業的目的でFIFAの公式知的財産または放送コンテンツを使用するのは許容されません。
また、モバイル、インターネットサービスとアプリケーションの名前使用時、名称とエムブレムなどFIFAの公式承認なしで使うことはできません。

▲出処: FIFA Intellectual Property Guidelines

4)商業用広告
FIFAとFIFAの公式スポンサーではない非公式後援社は商業用広告において商標利用に関連するライセンスを取得せずにワールドカップと関連する単語、画像をみだりに使用する場合、処罰されます。

▲出処: FIFA Intellectual Property Guidelines

5)製品
一般的なサッカー用語や国名、クラブ名を製品製作と販売に使用は可能ですが、どんな場合でも「FIFA」と「ワールドカップ」などFIFAからの公式使用承認をもらっていない製品の製作と販売は許容されません。

▲出処: FIFA Intellectual Property Guidelines

6)普遍的視聴(公共団体観覧)
公共団体観覧や広告もまたFIFAの規定を守らなければなりません。FIFAのメディア権利ライセンスを獲得していない公共展示物や公式スポンサーの広告、競技中継もFIFAの許可承認を得なければいけません。

▲出処: FIFA Intellectual Property Guidelines

FIFAは今回の2022カタールワールドカップで競技中に頻繁に発生するオフサイド誤審を最小化して公正な競技進行のために初めて「半自動オフサイド判読システム(SAOT)」を適用しました。

競技の公正性を高めるための努力と共に知的財産を守るための共同の努力で公正な2022カタールワールドカップを一緒に作っていけたらと思います。


Japan Tel: +82-2-726-1113, 1107 | Fax: +82-2-777-7334 | wips-jp@wips.co.kr

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