2022年8月8日月曜日

【IP ISSUE】音無き侵入者、窒素酸化物

音無き侵入者、窒素酸化物


エネルギー使用量が増加するにつれ、化石燃料の燃焼過程で排出されるガスによる大気汚染が重大な社会的イシューとして問題になっています。排出されるガスで代表的な汚染物質としては、窒素酸化物(NOx)、ソックス(SOx)、一酸化炭素(CO)、未燃炭化水素(HC)などがありますが、この中でも窒素酸化物は光化学スモッグの原因で人体に害を及ぼしたり酸性雨の原因で建物の腐食と土壌及び植物の酸性化に影響を与えると知られています。
今回のポストでは、窒素酸化物の汚染源別の事例及び解決対策、そして窒素酸化物の事前/事後処理技術の技術的内容と特許動向の全体的な流れを通じて窒素酸化物の低減技術の方向と現状を確認してみたいと思います。

1. 窒素酸化物の被害
窒素酸化物には安定したN2O、NO、N2O3、NO2、N2O5などと不安定なNO3が存在し、大気環境で問題になるほど存在するのはNO及びNO2で、通常これらの物質を大気汚染側面で窒素酸化物(NOx)といいます。代表的な被害事例としては、酸性雨による土壌及び植物、農作物の酸性化、光化学スモッグ、呼吸器を通じて吸入された微細ほこりによる疾病などがあり、被害は日々大きくなっています。

2. 窒素酸化物主要低減事前/事後処理技術
窒素酸化物低減の事前及び事後処理技術で最も代表的な技術をそれぞれ2つずつ選定し、それらの技術に対して簡単にご紹介いたします。

◎窒素酸化物低減事前処理技術
①低NOxバナー(LNB)
燃料と空気の混合特性を調節して燃焼強度を下げて燃焼初期領域の火炎温度及び酸素濃度を調節してThermal NOx及びFuel Noxの生成を抑制させる方法です。

②排気ガス再循環(EGR)
エンジンで燃焼された廃棄ガス一部を再びエンジンで再循環させて燃焼室の温度を下げてこれによってNOx排出を抑制させる技術です。

◎窒素酸化物低減事後処理技術
①選択的触媒還元法(SCR)
アンモニアを還元剤として利用し、無害なN2及びH2Oに転換する技術で高い脱窒効率を見せて運転及び維持補修が容易などの長所によって現在まで開発された技術の中ではNOxを低減させる最も代表的な技術です。

②選択的無(非)触媒還元法(SNCR)
アンモニアとUreaのように窒素を含有する還元剤を温度が870~1150℃ほどになる時点で噴射させて、噴射された還元剤がイオン化されて酸素が存在する環境で窒素酸化物と反応して最終的にN2、CO2そしてH2Oに分解されるようにする方法です。

3. 窒素酸化物低減技術の特許動向
<窒素酸化物低減技術の細部分類>

◎全体年度別/国別出願動向
全体年度別/国別の出願群数動向

大分類基準、年度別出願群数動向

増加→減少→増加の動きを繰り返す傾向が見られ、韓国と中国の出願は右向上(↗)の傾向を見せています。また、事後処理技術が事前処理技術に比べて絶対的な比率で集中されている特徴が見られて、市場もまた偏在化していると予想されます。

◎全体出願人別の出願動向
全体上位出願人

上位出願人の窒素酸化物低減の事前/事後処理技術現況

最も多くの出願群数を保有している出願人は、TOYOTA MOTORであり、その後をHYUNDAI MOTOR、DOOSAN ENGINE、GM Globaltechnology Operationsなどの順で次いでおり、事後処理技術に集中された傾向が見られます。

◎窒素酸化物低減の事前処理技術の出願動向
窒素酸化物低減の事前処理技術別の出願動向

窒素酸化物低減の事前処理技術上位出願人
 
窒素酸化物低減技術は、事前処理技術は排ガス再循環(A4)>低NOxバナー(A6)>水分(またはスチーム)>添加(A10)などの順で確認され、窒素酸化物低減技術の事前処理技術に関して上位出願人を抽出してみた結果、UNIV SHANGHAI JIAOTONG(CN)、上海华之邦科技股份有限公司(CN)、DAEWOO SHIPBUILDING&MARINE(KR)、KITECH(KR)などの順であることがわかりました。
また、窒素酸化物の事前処理技術の合計389件で、A4(約39%)、A6(約38%)小分類に集中分布する傾向が見られ、本技術分野の特徴として低減効率による結果であると判断されます。

◎窒素酸化物低減の事後処理技術の出願動向
窒素酸化物低減の事前処理技術別の出願動向

窒素酸化物低減の事前処理技術上位出願人

窒素酸化物低減技術で、事後処理技術は選択的触媒還元(B1)>その他触媒還元(B2)>選択的非触媒還元(B3)>湿式処理(B4)の順で確認されて、関連上位出願人を見てみたところ、TOYOTA MOTOR、DOOSAN ENGINE、HYUNDAI MOTORなどの順であることがわかりました。
事後処理技術の合計2,882件の内、B1(約63%)小分類特許出願に集中されている傾向が見られて、高い効率能力を持つ特徴の効果で国際環境規制に満足できるため、需要及び出願が活発であると推定されます。

4. 終わりに
窒素酸化物問題は我々の産業活動と直接の相互関連があり、これを防ぐための規制強化と低減技術適用において所要費用がとても大きい汚染物質です。そのため、窒素酸化物低減技術の最近の開発現況と各適用対象による費用分析など基礎資料が綿密に要求されて、社会的通念の変化及び関連法制化を通じて政策を設けることも並行して実施されるべきだと思われます。

※参考資料
・自動車微細ほこりと窒素酸化物低減技術及び市場動向(2016、KEITI)
・移動汚染源窒素酸化物低減のための触媒化学技術(2020、新素材経済)
・発電設備の脱窒技術現況(2009、係長技術)
・セメント産業での窒素酸化物低減技術動向(2020、資源リサイクリング)
・超低NOxバナー(2016、KISTIマーケットレポート)
・Hybrid SNCR/SCRの技術動向(2006、コネティックレポート)
・高機能環境設備分野の2020ビジョンと戦略(2007、KIET)


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