携帯電話を無線で充電したことありますか? 充電端子のない携帯電話の発売が噂に上っているほど無線充電に対する関心が高まっています。無線充電器の性能も向上し続けており、ユーザビリティも向上されています。今回の特許動向では、過去10年間に主要国に出願された無線充電技術に関する特許の動向を紹介したいと思います。
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主要国の出願推移は?
無線充電とは、無線で電力を伝送する技術であります。距離により磁気誘導(inductive charging)、磁気共鳴(magnetic resonance)、マイクロ波(microwave radio)に分類されます。最も一般的に活用されている自己誘導方式の標準(Qi, PMA)に関しては米国、韓国、日本企業の参加が多いです。それで、今回は米国、韓国、日本に出願した特許の推移を確認したいと思います。米国が全体出願の半分を占めており、韓国が36%、日本が15%です。全般的な流れを見ると、2010年代から大きく増加して、中盤からは小幅増減した傾向を確認することができます。
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関連特許を最も多く出願した企業は?
主要3カ国の最上位出願人はサムスンであり、LG InotecとQualcommの順です。主に電子 / 通信分野の大企業が上位を占めており、無線充電技術の専門企業であるWiTricityやEnergousもあります。昨年、Macsafe無線充電機を発売したAppleと電気自動車を生産するHyundai自動車も上位にランクインしています。
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区間の流れを見ると、無線充電受信モジュール技術力に強みがあるLG Inotec、Apple、Hyundai、LG電子において2010年代後半に出願数が大幅に増加した一方でサムスンとQualcommの出願は多少減少しました。Qualcommの場合、2019年にWiTricityに無線充電技術の「ヘイロー(Halo)」を売却しました。実際にQualcommが出願した特許の多くは、現在の権利者がWiTricityになっていることが多いです。
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また、攻撃的に無線充電関連特許を出願していたLG Inotecが、米国に出願した無線充電関連の特許を特許管理専門企業(NPE)に売却したそうです。該当企業は取得した特許の中で一部の特許を基にサムスンに侵害訴訟を起こしたそうです。無線充電に関して、企業間の動きが非常に活発だと思います。
国別の上位出願人は?
上位圏を見てみると、国別に多少の差があります。米国はサムスン、Qualcomm、WiTricity、韓国はLG Inotec、サムスン、LG電子、日本はパナソニック、Qualcomm、TDKが最上位の出願であることが確認されました。TDKは、日本の電子部品 · 素材企業です。スマートフォンやその他、携帯装置用無線充電コイルを開発 · 販売しています。
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一方、米国と韓国で上位グループのサムスン電機は、2019年にモバイル無線充電関連事業を携帯電話 / 電気装置関連の無線充電モジュールメーカーのChemtronicsに売却しました。現在、権利者がウィッツ(WITS)と確認される特許が多いです。WITSは、Chemtronicsがサムスン電機から無線充電事業を買収し、設立した系列社です。韓国内の上位出願にも含まれています。
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また上位出願人であるアモーセンスは、2008年に韓国で設立した無線充電 · IoT · 5G分野の技術企業です。無線充電に関して、超薄膜型磁場遮蔽シートおよび無線電力伝送アンテナモジュールを開発するそうです。
EnergousとWiTricityはどんな企業?
米国の無線充電技術企業であるEnergousとWiTricityについて説明します。2012年に設立したEnergousは、RF基盤の無線充電技術に特化したNasdaq上場企業です。Energousの無線充電技術(WattUp®)は、充電器に接触しなくても近距離内で多数のデバイスを同時に充電できるそうです。WiTricityは2007年に設立した企業であり、電気自動車の充電システムに強みがあります。またQualcommの無線充電技術に関する特許を大量に引き受けています。
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▲ energous.com ▲ witricity.com |
両企業は出願量では最上位圏ではありませんが、ファミリー国および被引用(F1)情報を見ると、10カ国以上のファミリーを保有しているか30件以上の文献に引用された技術を保有している出願人から見ると1、2位となっています。つまり、グローバルで活発的に活動しており、技術的な影響力もあるとみられます。
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特許分類コード(IPC)で主要技術分野を見てみましょう。
最後に出願した技術分野について紹介します。電気分野(H)、その中でもH02J(電力給電 / 配電のための装置およびシステム、電気エネルギー貯蔵システム)の出願が圧倒的に多いです。電気分野(H)に次いで、H01F(磁石 ; インダクタンス; 変成器; 自己特性のための材料の選択)、H04B(転送)が多いです。 国別には全般的に流れが同様であるが、韓国の場合、電気自動車関連のB60L(電気推進車両の推進等)やH01Q(アンテナ)分野の出願が米国出願より多いことがわかります。
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ここまで、無線充電技術の特許動向を見ました。 充電式電子機器と電気車両の使用が増えています。充電距離や充電速度のような利便性向上に対するニーズだけではなく、環境問題にも対応していくため、充電技術は持続的に高度化していくと思われます。携帯電話や電気自動車を超高速で無線充電することを期待しています。
(参考)
1) LG Inotec、米特許123件 NPEに売却...国内企業にブーメランになるのか (2021.4)
http://www.thelec.kr/news/articleView.html?idxno=11805
2) Qualcomm、電気自動車の無線充電技術をWiTricityに売却 (2019.2)
https://www.etnews.com/20190215000378
3) Chemtronics、Samsung Electronic 無線充電事業210億ウォンで引き受け (2019.4)
https://m.etnews.com/20190419000217
4) Chemtronics, Samsung Electronic 無線通信モジュール事業引き受け公式化 (2021.1)
http://www.thelec.kr/news/articleView.html?idxno=10659
5) 無線充電企業紹介
http://www.businesspost.co.kr/BP?command=article_view&num=12440
6) LG スマートフォンの特許を引き受けたグローバル特許モンスター、Samsungに特許侵害訴訟 (2021.5)
https://biz.chosun.com/it-science/ict/2021/05/05/W6SJNGD6ERBM7AUROHHVMIGSXA/
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