2020年11月25日水曜日

【IP NOTE】IP資産が経済成長にどのように役立つか?

知的財産(Intellectual Property, IP)は、既存の有形的な財産から脱し、無形の知識、つまり教育、研究、文化、芸術、技術など、人間が創造したすべてのものに対する財産のことです。
他の有形の財産と同様、開発、所有、管理及び商業化して経済的収益を創出できるため、権利としても保護されています。
今回のIP NOTEでは、IP資産の経済的な価値についてご紹介します。


IP資産とは?

IP資産は、事業価値のために戦略的に選択された特許、商標、著作物、産業デザイン、地理的表示、営業秘密など知的財産をまとめたものです。技術、製品やサービスの価値と財務的な収益を向上させる能力ゆえに経済的な価値があります。
事業家と政策立案者はIPに「資産」という単語を加え、法的権利はもちろん所有者の経済的な利益を付与できるものと定義しています。


▲ picpedia.org

IP資産は人的資本を通じて生産された産出物であります。人的資本がなければ知的財産は創出されず、経済発展もできないため、経済成長において人的資本は非常に重要であります。しかし、人的資本自体は所有する方法や法的地位がないため、経済的な価値を付与することは難しいです。
そのため、その人的資本を通じて生産されたIPに資産の性格を付与することで、法的地位及び経済的な価値を認めているのです。

特に、今日では人的資本とIP資産の結合は知識基盤の経済においては経済発展の最も重要な動力となっています。

IP資産を開発して管理しなければならない理由

1990年代、IPの開発及び管理は急速に成長する技術及び文化産業の分野で大きな注目をされました。
IP資産管理(Intellectual Asset Management、IAM)は、経営大学院で教えるようになり、会計、コンサルティング、法律事務所などでサービスで提供する専門分野として定着しました。
IP資産は積極的かつ戦略的な政策を通じて価値がますます大きくなり、重要な経済的資産になっています。
マクロ経済的レベルでも人的資本とIPを含めたIP資産は最も価値のある要素と認識されています。したがって政策立案者はIP資産を経済政策の核心的な道具として使用しようとして、企業がIPポートフォリオを通じて技術力を強化するよう、国家的なIPポートフォリオを強化しなければならないと主張しています。

 flickr.com ⓒMike Lawrence

アメリカ国家知的財産委員会(National Knowledge and Intellectual Property Task Force)はIP資産について次のように説明しています。

・IP経済における企業の価値は、"知識(Knowledge)"を適時に純資産(Net Worth)に転換し、新しいマーケットのチャンスをつかむ能力によって決定される。
・また、製品の周期が短くなり、競合企業が発売期間を短縮することから、企業は新しいアイデアを開発し、事業化するためのプロセスを継続的に検証、改善しなければならない。
・つまり、知的財産の急成長に合わせて会社の戦略を見直し、マーケットをリードすることがIP資産管理の核心である。

IP資産が経済成長にどのように役立つか?

IP資産は様々な方法で経済成長に影響を与えます。
最も重要な方法の一つは、ライセンスによるロイヤリティ収益の創出です。
全世界で特許ライセンシングを通じて発生した収入は、1990年の150億ドルから2000年には1,000億ドルに増加しました。 

IPライセンスは企業がコストを下げたり、商品にアプローチすることに役に立つことができ、収益性は徐々に高まると考えられます。
IBMは、2000年度だけでライセンスのロイヤルティで17億ドル以上を稼ぎました。
大学でもIP資産を予算を支援し、持続的な教育と研究を続けるために使用しました。
カナダとアメリカの大学と研究機関は、2004年の会計年度のライセンスを通じた収入が13億6千万ドルであると報告しました。
発展途上国の中小企業も技術移転の協約に参加し、合弁法人を誘致するとともに、新しい地域マーケットへの拡大に役立つ核心分野としてIP資産を選択しました。
IP資産は、買収合併をする際にも企業の価値を高めます。
特許、商標、著作権などのIP資産がどの会社とM & Aされるかによって、実際の価値よりも高く評価されることも可能です。

▲ pixabay.com
 

IP資産が経済的価値がある理由

IP資産が適切に管理される場合、以下のような効果が期待されます。
・製品販売及びライセンシングのロイヤルティ収益を創出できるようモチベーションを与え、支援
・高付加価値の輸出増加
・高付加価値の外国人直接投資(FDI)及びM&A投資誘致
・技術人力を維持し、モチベーションを与えられるように支援
・研究開発(R&D)基盤産業の活性化及び雇用の創出
・教育及び研究機関を支援
・企業価値評価の強化
・必要な技術や製品を提供し、改善するR&Dに対する資金後援を促進
・技術移転交渉で交渉力を提供
・ライセンス契約を通じ、財貨と技術にアクセスできるよう支援

▲ pixabay.com

政策立案者が国のIP資産の開発と管理を活性化するためにやるべきことは?

政策立案者はIP監査、目標設定及び測定、IP資産開発のための集団識別、研究開発の資金支援、IP政策計画と教育及び経済政策の調整、税金、その他IP開発のための財政的支援が含まれているIP戦略計画を開発しました。
また、公共-民間のベンチャーファンドも特許出願基金など、中小企業と非営利の研究機関がIP所有権を現実的に担えることができるような方法を導入しました。

IP資産の開発及び管理は、IP評価、IPインフラ構築、IP教育、IP資産など、4つの要素で構成されています。
このすべての要素は相互に関連性を持っているため、総合的なシステムの文脈から読み取るべきであると考えられます。


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