スポーツブランドを代表するナイキとアディダス
ナイキとアディダスはスポーツブランド市場を代表する企業です。
アメリカの経済専門誌のフォーブスは2019年世界ブランド順位でナイキを14位、アディダスを61位と評価しました。
2017年世界スポーツブランドの市場占有率を見てみると、ナイキが40%でアディダスは23%を占めています。
北米市場(ナイキ48%、アディダス8%)では大きく差をつけてはいますが、ヨーロッパ(ナイキ37%、アディダス28%)とアジア(ナイキ27%、アディダス24%)ではそこまで大きい差はない様子です。
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▲ pixabay.com |
靴をもっと軽く!ニット繊維の靴
全てのスポーツ用品製造企業は、もっと軽い運動靴を作るために努力してきました。
ナイキもまた軽くて着用感がいい靴を作るために長い間研究を続けてきました。
1980年代に着用感が靴下と似ているとして「ソックレーサー(Sockracer)」と名づけられたランニング靴をリリースしましたが、耐久性が良くなくて失敗しました。
その後も似たような試みをし続けてきましたが、耐久性の脆弱点を解決することはできませんでした。
その後、ナイキは耐久性に対する問題点を解決するためにフライニット(Flyknit)開発チームを構成し、2012年にもっと軽く着用感が良くなった「フライニット」ランニング靴をリリースしました。
靴の上の部分を織らずに軽量繊維をニットセーターのように織った「フライニット」技術はコンピューター制御を通じたオーダーメイド工法が可能で製造時間を一層減少させることができて、靴製造において発生する生地の損失も最小化できます。
アディダスもまた2012年に軽量繊維で作った「プライムニット」ランニング靴を発表しました。
当時後発だったアディダスは市場を攻略するために品質で勝負をかけました。
フライニットはアメリカではなく、第3国で委託生産をしている反面、プライムニットはドイツでのみ手作業で生産しているため品質がもっと優れていると主張しました。
また靴を作る過程を公開して品質に対する信頼度を高めました。
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▲ flickr.com ⓒ Andrea Perkins |
ナイキvsアディダス、ニット繊維技術特許紛争
フライニットを作る技術は2004年「織物上部を持つ靴類の物品(Article of footwear having a textile upper)」という特許で出願されました。
2011年に同じ名称で分割出願をした後、2012年の9月に登録されました。
それから5ヵ月後、アディダスはフライニットと類似する技術で作ったプライムニット(Primeknit)製品をリリースしました。
以後アディダスはナイキフライニット関連特許の進歩性を問題として取り上げて2016年にアメリカ特許審判院に当事者系無効審判を請求しました。
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▲ Wipsglobal.com WIPS Global特許検索「フライニット技術関連特許」 |
当事者系無効審判の結果は?
特許審判院は当事者系無効審判において、ナイキの特許は進歩性に問題がないと審決しました。
進歩性とは関連分野にある技術者が創作能力を発揮した部分をいい、アディダスは関連業界にいる人なら十分この特許の技術を考えられると主張しましたが受け入れられませんでした。
アディダスは特許審判院の審決を認めず、控訴をしました。
今年の6月25日、事件を引き受けたアメリカ控訴裁判所は特許審判院の審決は問題がないと判決して控訴を棄却しました。
結局アディダスが2016年にナイキを相手に提起した当事者系無効審判はナイキの勝利で片付けられました。
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▲ Wipsglobal.com WIPS Global審判検索「Adidas AG v Nike, Inc.」 |
大きくなる市場、ナイキの対応は?
2018年、ナイキはプーマ(Puma)を相手に特許侵害訴訟を提起したことがあります。
問題になった8件の特許の内、フライニット技術に関する特許が5件でした。
ナイキが訴訟を取り下げて片付けられましたが、今後も該当技術に関連する特許紛争は増加することが予想されます。
フライニット技術の登場と共に多くのスポーツおよびアウトドアブランドもニット素材運動靴をリリースし始めたためです。
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▲ Wipsglobal.com WIPS Global訴訟検索「Nike, Inc. v Puma North America, Inc.」 |
アメリカ繊維専門誌のTextile Todayの調査によると、2017年20億ドルの規模だった世界のニット靴市場は2025年に32億ドルに成長する見込みだそうです。
大きくなる市場だからこそナイキが自社の権利を守るためにどのような対応をしていくか今後の動きに注目です。
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