2020年7月30日木曜日

【IP KOREA】特許管理専門企業で戻ってきたパンテック

1世代ベンチャー神話だったパンテックの没落


パンテック(PANTECH)は2000年代にSKY、Vegaシリーズで韓国市場占有率2位まで達成した携帯製造会社です。
相次ぐ事業失敗で経営難に陥って企業回生手続を進めることになりましたが、
引受者がなく、廃業まで考えていた最中にソリッド-オプティスコンソーシアムが手を出して事業を維持できるようになりました。
パンテックが2016年に野心的にリリースした新製品「IM-100」が期待に反して低調な販売量を見せて、親会社のソリッド-オプティスコンソーシアムまで厳しくなって経営権が再びK&Aホールディングスに移管されました。
しかしK&Aホールディングスもパンテックの特許権維持のための登録費用など固定費支出が増加すると、経営に負担を感じて最終売却を決定しました。

▲ pantech.com 「パンテックホームページ」

特許管理専門企業に復活


5月26日、Pantechという名前で新しくホームページが開設されました。
パンテックは特許管理専門企業(NPE)であるアイディアハブに登録特許およびブランド専用使用権を売却して、アイディアハブの子会社「パンテック株式会社」として新しく設立されました。
今後、パンテック株式会社は自社が保有した特許を活用して事業を進める予定だそうです。
業界関係者は、現在アイディアハブがサムスンとLGなど韓国国内製造会社とはライセンス協議を、中国製造会社たちを対象としては特許権実施を準備していると見られると伝えました。
既に多くの特許がアップルなどグローバル企業に渡ったものの、いくつかの核心特許は企業たちに相当の致命打になる可能性があるとの意見もあります。

▲ Wipsglobal.com WIPS Global特許検索「増強現実提供システムおよび方法のリーガルインフォ」

パンテックの特許


WIPS Globalの検索結果、パンテックは現在468個の特許を保有しています。
特許を確認してみた結果、412個の特許が前のパンテックが保有していた特許で、ゴールドピークイノベーションズ(15個)、LG電子(6個)が持っていた特許に対する権利も引き受けています。
Smart Cloudでキーワードをみてみると、通信分野、デバイス、増強現実(AR)、ディスプレイ分野の特許が多いです。
パンテックが呼出機、通信、カメラ、ビデオゲームまで多様な事業を進めていたためです。
以前に持っていた約1,600個の特許に比べると特許数自体は少ないですが、源泉特許が多いので競争力は十分あると思われます。

▲ Wipsglobal.com WIPS Global特許検索「パンテックのSmart Cloud」

パンテックの第一歩


最近パンテックは、過去にトリプルリアリティテクノロジ(以下、TRT)に売却していたAR技術関連特許一部を再び買い入れました。
また、去年にTRTがポケモンGoの製作会社のナイアンティックを相手に提起した特許侵害禁止訴訟も引受を申請しました。
特許侵害を主張した「増強現実提供システムおよびその方法」特許はARサービス具現に必要な核心技術で知られています。
パンテックは設立以後からAR分野の市場価値を高く評価して関連技術に相当の投資をしてきました。
2014年の法廷管理までパンテックが所有していたAR技術関連特許はサムスン電子とクアルコム、ジーメンスより多かったです。
このようにパンテックは自社が保有した広範囲の特許ポートフォリオを元にARなど主要技術に対する訴訟およびライセンシングに多くの力を注ぐと予想されます。

▲ Wipsglobal.com WIPS Global特許検索「増強現実提供システムおよび方法の特許評価」

パンテックは再浮上できるのか?


マスコミとのインタビューで、パンテックのキム・ビョンジン代表は「終わるまで終わりじゃない」というアメリカ野球選手ヨギ・ベラの名言を引用して復帰に対する意志を表現しました。
製造会社としての姿はもう見られないですが、以前から積んできた力量はなくなっていません。
新しい事業モデルで復帰したパンテクが再浮上できるか、今後が楽しみです。


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