2020年6月10日水曜日

【WIPSTUDY】引き続き出願されているストリーミング技術特許

【WIPSTUDY】引き続き出願されているストリーミング技術特許


データ転送に関する技術は引き続き高度化してきました。おかげで大容量のデータをだんだん早く受け取れるようになりました。特に最近はリアルタイム転送と再生(ストリーミング:Streaming)に関心が集中しています。高画質のビデオを事前にダウンロードしなくても、動画が止まることなく再生できるためです。更に、新型コロナによってアンタクト(Untact、非対面)時代が到来して関連企業はもっと注目を浴びるようになりました。全世界が経済危機を経験している中でもネットフリックスのようなコンテンツストリーミング企業の株価が上がる訳です。それでは、ストリーミング技術と関連する特許はどれくらい出願されているんでしょうか?今回のWIPSTUDYでは、WIPS Globalで検索した結果を元に最近10年間アメリカと韓国に出願されたストリーミング関連特許動向1を調べてみたいと思います。


1. 年度別、国別出願現況

2010年から10年間、韓国とアメリカに出願されたストリーミング関連特許は約12,700件であり、その中の77%はアメリカに出願されました。年度別出願状況を見てみると、2010年代の頭頃に急激に増加して、半ば以後からは同水準を維持しています。一方、韓国の場合、2012年以後に減少する様子を見せていましたが、2016年以後に反転しました。最近になってコンテンツストリーミング市場が爆発的な成長を見せている点を考慮すると、今後も特許活動が大きく減少することはないと予想されます。



2. 出願人別の出願現況


出願人別の現況を見てみると、アメリカのIBMが1位、サムスン電子が2位、Googleが3位でした。上位出願はほとんど伝統的な電子/通信関連企業です。3位と11位のGoogleとAmazonは有名なコンテンツストリーミングサービスを運営しています。Googleは月平均利用者数が約19億名に達するYoutubeを保有していて、AmazonもまたAmazon Primeというストリーミングサービスを提供しています。


次に、期間別の変化を確認してみます。未公開区間を除いて2つの区間(2010年~2013年、2014年~2017年)で出願件数を比較してみると、IBM、Google、AT&T、Amazonの2014年~2017年の出願件数が2010年~2013年に比べて20%以上増加したことが分かります。注目すべきことは、IBMの出願件数が全区間に比べて2倍以上が増加したことです。長い間データ処理および通信関連技術を開発してきたIBMは、ストリーミングビデオプラットフォームおよびホスティングサービスを運営していて、クラウドコンピューティング関連技術の特許活動もとても活発に行っています。2019年だけを見ても、アメリカで2,500件以上の関連特許を取得しています3。一方、AT&Tは3月にストリーミングTVサービスの「AT&T TV」を発表しました。TVを基盤にマルチプラットフォームで利用可能なプレミアムストリーミングサービス事業を始めたのです。特許活動に新規事業の影響があったと思われます。



今回は、国別の上位出願人を見てみます。アメリカはIBM、Google、マイクロソフト(Microsoft)などの出願が多く、韓国はサムスン電子、SKプラネット、韓国電子通信研究院が上位出願を占めています。

全体出願でアメリカの出願が77%で高い割合を占めているため、アメリカの出願順位と全体の出願順位が類似します。ただ、マイクロソフトのアメリカ内出願順位が全体出願順位と比べて多少高い(7位→3位)という点に差があります。韓国はサムスン電子とSKプラネット、韓国電子通信研究院がトップ3を占めています。この中で情報通信関連ソリューション企業であるSKプラネットはクラウドストリーミングソリューションを保有していますが、2016年には10個のグローバル企業と動画ストリーミング特許連合を結成2しました。



上位出願企業100個の場合、電子/通信関連企業の出願が全体の64%で最も多く、プラットフォーム/OTT(Over The Top)サービス企業とインターネット/通信関連企業の出願が約10%で後を次ぎます。学校および研究所も6%を占めています。





実際に年度別の推移を見てみると、電子/通信企業は2010年の序盤に急激に増加した後、減少傾向に転換された反面、プラットフォーム/OTT企業の出願は全般的に増加する流れを見せています。インターネット/通信企業も少しずつ上昇する様子を見せています。今後のコンテンツストリーミング市場の成長によってダイナミックな動きを見せる可能性があります。 




3. 出願人国籍
出願人国籍を見てみると、基本的に内国出願人の割合が圧倒的です。その他には日本、中国、スウェーデンの出願が高いことが分かりますが、その中でもスウェーデンが目立ちます。伝統的な通信企業であるエリクソン(Ericsson)と世界的音楽ストリーミングサービスのSPOTIFY特許の影響が大きいです。SPOTIFYが韓国進出を準備中である点を考慮すると今後韓国での特許活動がもっと活発になる可能性があります。



4. ファミリー/引用現況


次に、ファミリー現況を見てみます。全ての特許がファミリー特許を保有していて、2カ国以上のファミリー国を保有しているケースが約53%であることが確認されました。10カ国以上のファミリー国を保有したケースも4%でしたが、この中で上位出願はほとんどクアルコム、インテル、ソニー、Apple、マイクロソフトのような電子/通信企業です。
ディッシュ・ネットワーク(Dish Network)は少し見慣れないかも知れませんが、アメリカの衛星放送事業者でIP TVサービスのSling TVを保有しています。



引用現況を見てみると、56%の特許が引用されたことがあり、10件以上の文献に引用された特許は約1,800件に及びます。10件以上の文献に引用された特許の出願人を見てみると、IBM、クアルコム、マイクロソフト、エリクソンなどの伝統的な電子/通信企業が上位を占めています。名前が多少見慣れないTivoもまた上位出願ですが、Tivoはデジタルビデオ録画機(DVR)製造を基盤とするアメリカの企業です。セットトップボックス時代には成果がよかったですが、2010年代にネットフリックス、HuluのようなOTTサービスの成長で実績が悪化しました。



ストリーミングは単純に映画やドラマのような動画を見るだけではなく、ゲーム、ショッピングにも適用されています。また、各種ソフトウェアやソリューションもクラウドベースで提供していて適用分野が引き続き拡大されています。

これから数年後にはどう変わってるんでしょうか?どこまで進むのか今後が楽しみです。

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1 ストリーミング技術はデータ圧縮と転送/再生技術などが複合されています。今回の動向分析は圧縮技術ではなく、転送と再生技術を中心としています。
2 SKプラネット、10個のグローバル企業と動画ストリーミング特許連合結成
 https://www.skplanet.com/pr/newsView?sSeq=406&sKey=&sWord=&cPage=0
3 IBM、去年にとっきょ 9,200個取得… "27年連続1位"
 https://biz.chosun.com/site/data/html_dir/2020/01/15/2020011501616.html


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