2020年6月5日金曜日

【IP KOREA】韓国の特許侵害損害賠償、12月から現実にあわせて改定

韓国特許法改定案、国会通過


特許法によると特許を侵害された場合、出願人は書面警告をして業務上の損失に相当する賠償金を請求できます。
しかし大量生産能力を持つ大手企業が中小企業の特許権を侵害して発生する損害賠償より特許権侵害を通じて得る利益が大きくなるという問題が生じました。
被害補償金は特許権者が生産可能な製品の量を基準にするためです。
なので、企業が特許を侵害して多くの製品を生産しても補償金には変化が無いです。
この問題を解決するための特許法改定案が先月の20日に韓国の国会を通過して、今年の12月から試行されるようになりました。


▲ assembly.go.kr 「韓国国会ホームページ」


韓国の特許侵害現実


特許庁によると韓国の侵害損害賠償額の平均は6,000万ウォンくらいです。
これはアメリカの損害賠償額の平均である65億7000万ウォンの1%にも及ばない金額です。
特に2006年~2012年の間に特許法違反事件に対する起訴率は5.1%のみであり、有罪判決も46.3%程度で折半にも達していないです。
このような状況のため、中小企業は訴訟を最後まで進められずあきらめるケースが多かったです。
しかし特許権侵害関連民事訴訟は毎年約200件が地道に発生して問題点として指摘されてきました。


▲ flickr.com ⓒ Mike Lawrence


特許法改定案と期待効果


特許法改定素案は侵害者が得た利益全体を特許権者の損害として認められるようにすることを主な内容として発議されました。
以後、企業たちと裁判所事務総局の協議の挙句、一部内容が変更されて本会議を通過しました。
改定案によると既存と同じく特許権者の生産量を補償金の基準とするが、侵害企業が特許権者の生産量以上の製品を生産する場合、超過生産分に対する補償金が追加されます。
このような方式は、アメリカでは1940年代から適用していて、日本も特許法を改定して今年の4月から適用しています。
また、今回の特許侵害損害額の範囲拡大は、去年の7月から施行している特許権侵害3倍賠償制度と結合して侵害防止効果がもっと大きくなると予想されます。
これを通じてこれまで特許権保護の限界で断絶されていた知識財産金融と特許技術取引が再び活性化すると予想されています。


▲ pixabay.com


知的財産権の価値保護に力を入れる韓国


去年の7月から施行された特許権侵害3倍賠償制度は、現在アメリカと韓国のみ施行されています。
今回通過した損害賠償額の算定方式改善案が適用されれば、知的財産を先導する5カ国(アメリカ、ヨーロッパ、日本、中国、韓国)で二つの方式を全て法制化したのは韓国が唯一です。
また、特許庁は訴訟課程で必要な侵害および損害額の立証資料を特許権者がより容易く確保できるように「K-Discovery制度」導入も推進しています。
韓国特許庁の朴原住(パク・ウォンジュ)庁長は、「知的財産をそれ相応の価格で取引する公正な文化が定着することはもちろん、中小企業が堅実に成長する礎石になることを願っている」と伝えました。


▲ pixabay.com

今回の法律改訂で韓国は最も強力な特許権保護体制を整えるようになりました。
制度の先進化を通じて、特許に対する価値をきちんと認めてもらい、特許権者の権利がちゃんと保護されるようになると良いですね。



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