2020年5月6日水曜日

【IP NOTE】特許引用情報が重要な理由

特許は長い間、革新と技術変化研究のためのとてもすばらしいデータソースとして認識されてきました。特許は、新しい発明に対する商業的使用のために発明者に付与される一時的な法的独占権です。つまり、特許権は革新に対する公開によって決まった期間中に他人を排除する権利を持ちます。

実際に特許データを使用することには利点があります。各特許には革新に対するとても詳しい情報が含まれています。特許は技術、譲受人および地理的側面などで幅広い内容が記載されています。もちろん、限界もあります。全ての革新が特許を取得するのではないためです。全ての発明が特許基準を満たせないため、発明者が秘密または他の適切な接近手段を活用して技術に対する権利を保護したりします。


▲ flickr.com ⓒ opensourceway

既存に経済研究において特許データ使用の限界は、特許件数だけに依存するという点です。革新の価値が多様である点からみると特許件数は制限的指標に該当します。以後の研究では登録データを使用したり、特許の異種性を扱うための指標として引用情報を使用し始めます。

特許の最初のページには発明、発明者、譲受人および該当発明の技術的先行に関する詳しい情報が含まれています。特に引用情報は特許によって付与された財産権の範囲を制限するため、重要な法的機能を遂行します。例えば、特許Bが特許Aを引用すると、特許Aは特許Bが請求できない既存知識の保有者になります。出願人は先行技術に関する知識を公開する法的義務があり、どんな引用を含ませるかに対する決定権は特許審査官にあります。


▲ wipsglobal.com WIPS Global特許検索「引用分析」

特許引用は、革新に関する二つの主要側面に対する情報を伝達します。一つ目は、時間と空間によって発明と、発明家および譲受人間の連結です。特に、特許引用は地理的、制度的側面で特許のスピルオーバー(Spillover)に対する定量的で詳細な研究を可能にします。二つ目、引用は開発特許に対する「重要度」の指標として使用できます。

引用は技術のみならず、経済的に重要な情報を把握できるようにします。特許を確保した革新のほとんどは利益を追求する組織(企業)が遂行したR&Dに対する成果です。企業が公開された特許に対する革新に投資すれば、その引用された特許は経済的に価値があるということを意味します。更に引用は長期的に続けられることで、技術的な可能性と革新の商業的価値に対する不確実性を解除できます。つまり、引用された特許が何年が経った後も引用されることが観察されると、後者は該当特許が実際に価値があるものだと判断することができます。


▲ Market value and patent citations

経済的影響または価値を表す指標として特許引用を検証する研究もあります。Trajtenberg(1990)は、医療技術の主要革新の一つである断層撮影(CT)スキャナーと関連して特許の流れを、この技術の改善による社会的黒字(surplus)推定と関連させました。特許数は推定された黒字(surplus)と相関関係が無い反面、引用加重特許数はそれと密接な関連があることが分かりました。これは引用情報が革新の価値に対する情報を効果的に伝えていることを見せる最初の結果と読み取れます。
LanjouwとSchankerman(2003)の最近の研究でも特許の品質を表す指標として請求項数、国数などの他の指標と共に引用という指標を使用しました。彼らは複合的な指標を使用することでどんな特許が更新されるか、またはどんな特許が訴訟に巻き込まれるかを予測することにおいて相当の効用性(power)を持っていることを発見しました。


▲ flickr.com ⓒ opensourceway

一方、Harhoffなど(1999)はアメリカ特許を保有しているドイツ人の保有者たちに(もちろん、ドイツにも出願)出願3年後に特許販売価格を推定するように要請しました。彼らは推定された価値が後続引用と関連があって最も多く引用された特許はとても重要であり、単一引用は平均価値が約100万ドルであることを暗示しました。Giummo(2003)がドイツの職務発明補償法に従って9個の主要ドイツ企業で発明者/特許権者が受けたロイヤルティを調査したときにも似たような結果が出たそうです。

H.Shane(1993)は1977-1990年の間の半導体会社の特許に対する調査を通じて引用が発生した特許がもっと予測的である事実を発見しました。引用特許は単純特許数よりR&Dとより密接な相関関係があって、これは企業が特許革新に更なる努力を注いでもっと多くの引用を発生させるということです。

このように特許の引用は企業の技術革新および市場価値を判断するのに必要な重要情報を与えるという点から、無形資産を評価する主要指標として活用されます。


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*'Market Value and Patent citations(2003)'から一部抜粋して作成



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