2020年3月11日水曜日

【IP ISSUE】AIが特許権を保有できるのか?

WIPOのAI特許権草案発表


世界知的財産権機構(以下、WIPO)は去年の12月、知的財産政策に関する公開協議手続きを始めて、会員国を相手に意見開陳を要請しました。
WIPOが作成した草案にはAI技術を保有する企業ではなく、AI自体に知的財産所有権を与えようという内容が含まれています。
もしAIが作った技術が特許として登録される場合、所有権者はAI技術保有者ではなくAIになるということです。

▲ flickr.com ⓒ mikemacmarketing

WIPO草案に対する意見


草案発表以後、約22カ国の100個の企業会員たちがWIPO側に賛否意見を伝えたそうです。
インテル側は知的財産権の発明家がAIに命名されることを許容してはいけないと主張して、発明家は絶対人間でなければならないという反対意見書を提出しました。
フィリップスもAI技術を基盤にした開発商品の特許権を認めてはいけないと強く反対しました。
このように、WIPOの草案に対して大半の企業は反対の意見を表明した模様です。
一方、IT専門家および科学者の一部からは、AI技術を保有した企業/機関ではなくAIが知的財産を持つべきだとの意見も出ています。
新しい時代に合わせてそれに対する制度も変わるべきだと主張しているのです。

▲ wipo.int

AIプログラムに対する色んな判例


人工知能開発者のStephen Thaler氏は、自ら神経網を拡張して新しいアイディアを作るAI発明プログラム「DABUS」を開発しました。
DABUS研究チームは、2018年にDABUSが発明した技術2件をイギリス特許庁、ヨーロッパ特許庁、アメリカ特許庁にそれぞれ出願しました。
ヨーロッパ特許庁は、今年の1月にDABUSが発明した技術が特許の要件に該当するが、ヨーロッパの特許条約に従って機械は発明者の代わりになれないと拒絶しました。
一方、最近中国の深セン市裁判所はAIプログラムのドリームライターが作成した記事を無断で使用したという理由で上海盈訊科学技術に著作権侵害判決を下しました。
ドリームライターはテンセント社が2015年に開発した記事作成システムです。
2万5千円の損害賠償判決でしたが、中国の裁判所がAIプログラムを著作物の主体として認めたものです。
この判決に関しては、現在も話題になっています。

▲ Wipsglobal.com WIPS Global特許検索「DABUSUの出願特許」

新しい時代、AIが特許権を保有できるか?


前述した意見書、ヨーロッパと中国の判例のようにAIが特許権を持つべきだという意見に関しては論難が続いています。
こんな論難があるということは、それだけ技術が一段と発展したということではないかと思います。
変化する時代にAIの役割と位置がどこまで許容されるべきか真剣に考える必要があると思います。
もちろん、AIが特許権の保有者になった場合、発生し得る根本的な問題にも備える必要がありそうです。


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