特許ポートフォリオの資産価値判断方法
「Patent Asset Index(PAI)」は、Holer Ernst教授の学術研究から始まって発展した特許ポートフォリオの資産価値を評価できる指数です。PAIは既存の資産価値評価方法の限界点を克服して、正確な評価のために研究された方法ですが、個別特許の「市場カバレッジ」と「技術関連性」指数を結合して価値を評価して、保有した特許の個別価値の和で全体の特許ポートフォリオの資産価値を評価します。
PAIは最近ヨーロッパの特許委員会でデュポンとダウケミカルの合併による市場影響調査を検討する時の評価ツールとしても活用されました。
今回のIPノートでは、PAIについてご紹介したいと思います。
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1. 特許ポートフォリオの資産指数(Patent Asset Index, PAI)
PAIは各企業が持つ特許ポートフォリオをビジネス観点から相対的価値を評価して、自社の特許を通じてグローバル市場でどれくらいの競争優位を持つかを推定することができます。特許ポートフォリオの資産指数は、個別特許が持つ「競争的優位(Competitive Impact)」の数値とポートフォリオの大きさを結合して計算することができます。つまり、企業が保有している有効特許が持つ「競争的優位」数値の合計で企業の貸借対照表や資産リストなどに表示されない会社の競争的優位をうまく表すことができます。
2. 特許ポートフォリオの大きさ
特許ポートフォリオの大きさは順位を付与する時点で企業が保有している登録及び有効特許の数を活用します。また、登録されていなくても公開された審査中の特許出願も含まれますが、特許制度の特性上、公開を通じて一部保護を受けることができるためです。一方、複数の国に出願した同一発明のファミリー特許の場合、多くの国に出願しても一つの特許で計算する必要があり、これのためにヨーロッパ特許庁が開発したINPADOC国際特許文献を活用した接近法を使用します。
3. 競争的優位(Competitive Impact)
「競争的優位(Competitive Impact)」指数は、各特許が持つ「市場カバレッジ」と「技術的関連性」を結合して生成した数値であり、個別特許に対するビジネス観点からの相対的価値を表します。特許の技術的関連性が高いとしてもそれを活用する大きい市場カバレッジが無ければ技術の価値が落ちるはずで、逆に広範囲の市場を持っているとしても技術的関連性が低い場合は価値が低くなるしかないです。結局、高い技術関連性と広い市場カバレッジを持つ特許だけが経済的に高い価値があると認められます。(1)市場カバレッジ
既存の価値判断方法では「特許を出願した国の数」だけで市場カバレッジを判断しました。しかしこの場合、各国の市場規模を無視して国別の出願数だけを反映するため、市場カバレッジをちゃんと判断しにくいです。PAI評価ではより現実的な市場規模を測定するための基準として「各国の国内総生産(GDP)」を使用します。出願国の数ではなくGDPを使用するため、現実的な市場規模を適用することができます。
「市場カバレッジ」は有効な特許の数と各国のGDPを結合して測定しますが、GDP数値の場合はアメリカのGDPを基準として1にして各国のGDPを比較して相対的な数値で評価し、特許が登録された国のGDP総合で計算します。ただ、出願中の特許は特許法上では保護されますが、登録された特許より弱い権利であることを鑑みて登録特許対比70%の数値を認めます。
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(2)技術関連性(Technology Relevance)
特許の引用回数は後続開発に対する関連性指標として活用することができます。しかし引用で技術関連性を評価する時、単純に回数だけを技術関連性の指標として判断するのは正確な基準になりにくいです。より正確に技術関連性を評価するためには引用数値を測定する時、特許の期間、特許庁別の引用差異、技術分野別の引用の差異などいくつか注意すべき事項がございます。1)特許の時間による引用差異
特許権は、古い特許であるほど引用数が多くなり、最近公開された特許であるほど引用数が少なくなります。そのため、特許が公開された期間によって実際に特許が持つ技術的価値より引用が少なくまたは多くなる可能性があり、このような数値を補正する必要があります。
時間による引用回数の数値補正のために同じ年に発表された全ての特許の平均引用回数で該当特許の引用回数を割って数値を補正します。
2)各国特許庁別の引用の差異
特許引用の場合、相当数が審査官によって先行技術資料として引用されます。しかし審査官引用の場合、審査官の個人差がある可能性があって各国の特許庁による引用の差異が出る可能性がございます。
一例で、USPTO(米国特許庁)の場合、多国特許庁より約3~4倍を引用するということが統計的数値で確認できます。このように全世界の特許の引用データを使用するためには特許庁別の差異も考慮する必要があります。例えば、他の特許庁より平均的に2倍の引用回数を生成する特許庁の場合、50%のペナルティを適用して他の特許庁との差異を補正する必要があります。
3)技術分野別の引用回数差異
特許の平均引用回数は特許が属した技術分野に大きく左右されます。一部の分野の場合、技術がお互い絡んでいて平均引用回数が増加する可能性があり、逆にある分野は技術の進歩がとても早く平均引用回数が減ることもあります。このような分野別の引用回数を補正するために前述した時間による数値補正と類似する方法を使用します。同一な技術に関する他の特許と比較して相対的な利用回数を計算します。技術分野の割当はWIPOのIPC特許分類コードを使用することができます。
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