2024年10月21日月曜日

【IP KOREA】電気自動車の火災防止技術特許

最近韓国のあるマンションの駐車場で電気自動車の火災による大型火災が発生しました。なんと車約140台が燃えて火災による有毒ガス発生と断水、停電による被害で100人以上の住民たちが臨時住居施設に避難しました。

▲電気自動車火災が発生したマンション駐車場
<出処:OhmyNews、https://n.news.naver.com/mnews/article/047/0002443110?sid=102>

電気自動車の火災は以前にもたまにありましたが、被害の規模と反響からすると今回の火災が最も大きかったそうです。頻繁に発生する電気自動車のバッテリー火災を防ぐための技術はあるのでしょうか?
今回のポストでは、これに関してどんな技術があるか調べてみたいと思います。


バッテリーパック自体で火災を消火する技術

今回の火災車両であるベンツの場合、車から発生した火災はまず1次消火がされず、もっと大きい火災に広がりました。
電気自動車のバッテリー火災が頻繁である分、火災発生時の初期に自体的に火災を消火できるようにする機能とシステム構築が必要と思われます。既存の特許技術でもこのように社内でバッテリーの火災を自ら消火できる技術が存在しました。

まず、代表的な電気自動車バッテリー製造企業のLG Energy Solutionの技術です。最近のバッテリーモジュールはエネルギーの密度向上のために数多くの二次電池を収納して一つのセルで爆発が発生した場合、他のセルも連鎖爆発する危険性があります。なので、LG Energy Solutionはこの問題を改善するために火災が発生したバッテリーモジュールから他のバッテリーモジュールに熱爆走連鎖反応を効果的に抑制できるバッテリーパックを開発しました。

▲Wipsglobal.com、KR10-2022-0106396、「火災安全性が強化されたバッテリーパック」

このバッテリーパックには冷却管があって、冷却水を供給して火災感知センサーから危険感知信号を受けるとバルブが開いて冷却水がバッテリーパックに素早く流入されるようにセットされているそうです。

LG Energy Solutionと共に代表的な電気自動車バッテリー企業であるSK Onもまた、バッテリー自ら火災を防止できる技術を開発しました。この発明はバッテリー火災による熱転移現象を制御できるファイアウォールが含まれたバッテリーパックです。やはり、火が発生したバッテリーモジュールの熱が他のセルに熱転移される問題を防止するために開発されました。SK Onはこの問題を解決するためにバッテリーパックに吸熱ファイアウォールを立てる方法を採択しました。

▲Wipsglobal.com、KR10-2020-0093791、「吸熱ファイアウォールを含めるバッテリーパック」

吸熱ファイアウォールはブロム系難燃剤、塩素系難燃剤など様々な難燃剤が含まれていて、0.12~3㎜の厚さで約110~150℃で吸熱反応を行うそうです。実は、従来技術では既にバッテリーセルとセルの間に熱爆走防止シートを配置する技術が商用化されていますが、これは範囲も広くて400℃以上のとても高い温度のみで吸熱機能を発揮して実効性はかなり落ちるという指摘が多かったです。

SK Onのこの吸熱ファイアウォールは、陰極と陽極が分離漠を境に交替で積層された電極組立体と上記電極組立体を囲むポーチ外装材で構成されてより細かく火災熱をカーバーできて、比較的に中下の火災温度にも感応して上記問題も解決できます。

次は、HYUNDAI MOBISの技術です。
HYUNDAI MOBISも自体的に消化機能が備えられたバッテリーシステムを開発しました。このシステムは火災発生時、バッテリーセルの発火時点に直接消火液体を放出できるように多数のバッテリーセルの間に消火液の保存部が搭載されたシステムです。

▲Wipsglobal.com、KR10-2018-0004239、「消火機能を具備したバッテリーシステム」

バッテリーパックには消化液の循環器が構成されていて、火災時に消火液の圧力を維持して点火地点に持続的な供給が可能だそうです。
火災発生時、早い消火で連鎖火災を効果的に抑えられる有用なシステムだと思われます。

バッテリーケースとカバーで火災を防ぐ技術

バッテリー自体ではないが、外側のケースやカバーで火災を防止する技術も出願されています。

現代自動車の協力会社の「SungWoo Hitech」は、消火機能が搭載されたバッテリーケースとバッテリーモジュールパックを開発しました。バッテリーケースに消火薬剤が搭載されてバッテリーモジュールの熱爆走または火災発生を防ぐそうです。

▲Wipsglobal.com、KR10-2022-0155614、「消火機能を内在したバッテリーケース及びこれを含めるバッテリーモジュールとバッテリーパック」

このバッテリーには二重構造のバッテリーケース内部に消火薬剤が備えられて、熱爆走による火災発生時、消火薬剤が噴射されて迅速に火災を抑制できて、温度上昇による溶融された部分を通じて消火薬剤が直接放出されてバッテリー管理システムの「BMS」の故障も防止するそうです。

現代自動車と起亜自動車が共同開発した技術も目立ちます。
この技術もバッテリーカーバーを利用して火災を防止する技術です。正確にはバッテリーをきりきりと囲んで火災を大きくする恐れがある火鉢の酸素供給を遮断する窒息消火方式の技術です。バッテリーカバーはバッテリーセルの下に位置して、火災発生を感知すると、下から上に蓋が広がって火災を早く覆うのです。

▲Wipsglobal.com、KR10-2022-0137221、「電気自動車のバッテリー火災鎮圧装置」

電気自動車のバッテリーは、炭素ではなくリチウム陰極を主に使用するため、火災時に酸素と共に漏出されると酸化や爆発の可能性がとても高くなります。二社はこの部分に注目して酸素を遮断することで火災を防止する方法を考案したのです。

車両外部から消火させる技術

上記の技術たちが車両の内部で自ら消火する技術であったなら、電気自動車の外部から火を消火する技術もあります。この技術なルノーコリア自動車で開発した「電気自動車バッテリーの火災発生に迅速に対応する消火システム」です。
この技術は車体の外部に消火水のキャップが設置されていて車体の外部から消火水を注入すると消火水のパイプを通じて消火水が直接バッテリーパックに噴射されるように設計されています。

▲Wipsglobal.com、KR10-2023-0165124、「電気自動車バッテリーの火災発生に対応する消火システム」

この技術の特徴は火災が始まったバッテリーパックに直接水を噴射できるというところです。残念なのは、外部に消火水が必要であるところで、スプリンクラーが作動しなかったり誰かが火災現場を発見できない場合には鎮圧が難しい部分がありそうです。

徹底な技術補完が必要な時


▲ Clipartkorea.co.kr

電気自動車の普及率がとても速く増加している中、最近発生している火災事件はもっと大きい衝撃を与えています。単純な火災を超えて社会的な世論論争まで広がっています。今後大きい火災が起きないように電気自動車バッテリー火災に対する原因の究明はもちろん、徹底なる技術の補完が必要だと思われます。


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